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理想の「初夢」見るために 1万人分析の専門家が勧めるメソッド

毎日新聞 / 2024年12月30日 15時0分

初夢に出てくると縁起が良いとされる「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」(イラストはイメージ)=ゲッティ

 新年、最初に見る「初夢」は、正夢になるという言い伝えがある。縁起の良い夢で幸運を呼び込みたい。1万人以上の夢を分析した研究者に、理想の夢を見るためのメソッドを聞いた。

「快」のイメージ

 「縁起がいいかどうかは、夢を見る人次第。うれしかったり楽しかったり、『快』のイメージが持てる内容だと、気持ちの良い一年のスタートが切れますね」

 こう話すのは、臨床心理士で東洋大学社会学部の松田英子教授だ。カウンセリングや睡眠実験などを基にした夢の研究を手掛けている。

 「初夢」の定義は諸説あるが、広辞苑によると元日の夜に見る夢。内容で吉凶を占う風習があったともされる。

 縁起の良さの代表格として知られる「一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび)」。由来は諸説ある。

 毎日新聞が1971年に出版した「続続雑学事典」では、徳川家康が駿河3大名物として主張した▽広大な富士・獲物をつかみ取るタカ・成功(成す)に通じるナス――と記す。

 ただ、松田教授は「夢に富士山やタカが出てきただけでは縁起がいいとは言えません。夢の中で富士山が噴火して逃げ惑っていたり、タカに襲われたりすれば、悪夢になってしまいます」と話す。

 松田教授によると、夢は脳内に蓄積された情報を基に作られる。

 体は休息していて、脳の働きが覚醒時に近いレム睡眠時に見ることが多い。記憶の整理や固定が進む間、いくつかの情報が合成されて、夢として認識される。

 だから、夢はお告げのようなものではなく、体験がベースになっているという。

 夢と同じようなことが現実に起きる正夢と呼ばれる現象は「心理学的には、先入観や経験則、直観などに基づく認知バイアスから説明されています」。

 普段からよく考えていることは、記憶に残りやすいため、夢で見やすいという。

お勧めは寝正月

 見たい夢を見る手立てはあるのか。

 松田教授は「たっぷり寝ること」を勧める。夢の素材は自分の記憶の中にあるからだ。睡眠中にそれが引き出され、組み合わさる。

 ストーリー性のある夢は、起床前に見やすいため、「2度寝や3度寝、寝正月もいいでしょう」。

 しかし、過度の飲酒は禁物だ。

 のどの渇きや尿意は中途覚醒の原因となる。夢には睡眠中の体の情報も取り込まれるため、トイレの夢を見ることもあるというから、気をつけたい。

 就寝前にリラックスし、見たい夢をイメージすることも効果的だという。

 心配事は片付けるか、見通しをつけて一旦、棚上げする。

 うれしかったこと、達成したことを思い出して、幸福感や満足感を呼び覚ます。お正月のごちそうや、お年玉で何を買うかを想像するのもいい。

 嫌な夢で目覚めたら、もう一度眠って筋書きを修正するのも一手だ。

 「暖かい布団の中で、幸せなイメージを膨らませて眠れば、思うような夢に上書きできるかもしれません」

 初夢を見逃したら、せっかくのチャンスをつかみ損ねたことになるのか。

 そんな問いに対し、松田教授は言う。

 「見ていないのではなく、思い出せないということ。怖い夢を見ずに記憶の情報整理ができて、正常に睡眠を終えたということです」

 現実と夢は表裏一体。たっぷり寝て心身の疲れを取り、明るい夢を見て、気持ちの良い朝を迎えたい。【山崎明子】

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