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名物レースに「昭和の響き」健在 「別府ケーブルラクテンチ」に活気

毎日新聞 / 2025年1月1日 16時30分

2018年からラクテンチを経営する「西石油グループ」の西貴之社長=大分県別府市で2024年12月13日、神山恵撮影

 「ゆりい(緩い)・ぬりい(ぬるい)・懐かしい!」。温泉観光地の大分県別府市には、大分弁独特のキャッチフレーズで注目を集める遊園地がある。1929(昭和4)年開業の「別府ケーブルラクテンチ」。来園者減少で閉園の危機にも直面したが、昭和レトロな雰囲気を前面に打ち出し、再生の道を歩んでいる。

 ラクテンチは山の中腹、標高約200メートルにあり、開業時に開通したケーブルカーで、約30度の急勾配を登る。園内で働く平野芳弘さん(73)によると、昭和30~40年代のケーブルカーは大行列で「高く登るにつれてテンションも上がった」。子どもが遊ぶ間、大人が休憩所にお酒を持ち込んで宴会をするなど、ゆったりした空気が流れていたという。

 最盛期は年間80万人以上が訪れていたが、次第に客が離れ、2018年には年間6万~7万人に低迷。その年、経営を引き継いだのが地元別府市の会社「西石油グループ」だった。西貴之社長(43)は「両親とラクテンチに行くことがうれしかった。途切れさせたくない」と経営権買収を決めた思いを明かす。

 「大切にすべきものは残し、進化すべきものは進化させる」が経営方針。園の「時代遅れ」な雰囲気こそ大事にし、冒頭のキャッチフレーズは、ほっとできる空気や温泉のぬくもり、昭和のロマンといった園の持ち味を西社長らが地元の方言で表現した。

 約75年続く名物レース「あひるの競走」も健在。調教師の独特な口上に乗って走るアヒル8匹から来園者が1位を予想し「大分の子が初めてするばくち」と呼ばれ親しまれる。

 一方、72年導入のジェットコースターは、安全性を確保した上で、部品の一部に当時と同じ種類の鉄を使い、進行方向が急激に変わる際に鈍い音があえて響くようにした。「昭和の響き」で来園者に古さや怖さを印象づける狙いだ。

 23年は来園者数が年間20万人台に回復。かつて住み込みの役者がいた演芸場をリニューアルオープンし、今後は温泉施設も改修する予定。西社長は「期待を超える満足感を提供したい」と意気込む。【神山恵】

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