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国内に3カ所しかない線香花火製造所 伝統守り伝える"良さ" 福岡

毎日新聞 / 2025年1月2日 16時30分

洗練されたデザインのパッケージに入った線香花火=福岡県みやま市で2024年12月9日午後0時26分、井上和也撮影

 日本の夏を彩る花火の中でも、線香花火は手軽に楽しめて根強い人気を誇る。ただ国内の製造は現在3カ所に。その一つが、福岡県みやま市にある筒井時正玩具花火製造所だ。

 1929(昭和4)年の創業で、初代は竹ひごの手持ち花火とねずみ花火を手掛けていた。戦後、高度経済成長期に入ると、花火の需要が増える一方で安価な中国産に押される苦境もあったが、手持ち花火に絞って製造を続けてきた。

 3代目を継いだのが、初代の孫、筒井良太さん(51)。高校卒業後、3年間の会社員生活を経て、福岡県八女市にある製造所の親会社で花火作りの技術を学んだ。そこは当時全国で唯一、線香花火の製造をしていた。

 ところが、23歳の時、親会社が廃業することに。「線香花火の伝統を消したくない」。筒井さんは親会社から道具などを譲り受け、製造所として線香花火作りに乗り出した。

 国産の線香花火の特徴は火玉が大きく、火花が4段階に変化すること。筒井さんは独自に品質を見直し、火薬の量が一定になるよう道具を工夫。また、火玉の温度をスムーズに上げるため、原料の硝酸カリウム、硫黄、松煙(しょうえん)の配合率も変えた。

 持ち手の素材が異なる2種類があり、ワラ製の柄の先に火薬がついた「スボ手」には自前の田んぼのワラを、また、火薬を紙で包む「長手」にはちょうどいい硬さの八女市製などの和紙を使っている。

 近年は、デザイナーとの出会いにも恵まれ、おしゃれなデザインのパッケージを採用。昔ながらの線香花火の付加価値を高める努力は徐々に実を結び、年間約50万本の生産量のうち8割ほどが全国のセレクトショップや百貨店で流通。企業などのノベルティーや贈り物としての需要も広がっている。

 「線香花火を後世に残すためには、子どもたちに花火の良さを伝えていかないといけない」と筒井さん。製造所内では玩具花火を直売するほか、線香花火作りを体験するワークショップも開いており、「一番は作り続ける努力、守る努力をすること」と言葉に力を込めた。【井上和也】

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