【沖縄とヤギ】食し、愛でる 文化に根付く特別な関係
毎日新聞 / 2025年1月5日 12時0分
ヤギを食べたことはあるだろうか。この質問に「はい」と答える人の割合は、おそらく沖縄と、それ以外の地域とで大きく差が出るはずだ。ヤギ肉には独特の臭みがあり、万人受けするとは言いがたい。
しかし、身近な草木を食べて育ち、丈夫で比較的容易に飼育できるヤギは、海に囲まれ土地の限られた沖縄で昔から貴重な食料として重宝されてきた。
地域や島によって異なるが、ヤギは沖縄の言葉で「ヒージャー」「ピンザ」などと呼ばれる。沖縄の人口が50万人台だった戦前に、多いときには約15万頭が飼育されていた。
第二次世界大戦末期の地上戦で大きく数を減らした後も、1956年には約10万頭まで回復。戦後の食糧難の中で沖縄の食生活を支え、祝い事や祭事の席ではヤギ刺しやヤギ汁は欠かせない一品だった。
食生活や食肉解体を巡る法制度の変化などに伴い、近年は1万頭前後で推移しているが、全国的に見れば今でも飼育頭数の約3割を沖縄が占めている。
食用以外でも沖縄でヤギは身近な存在だ。子どもたちにふれあってもらうため、学校や公民館、公園で飼育されることも多く、住宅街など意外な場所で自家用のヤギに出くわすこともある。ペットとして飼育する人もいるという。
クセのあるヤギ肉は沖縄でも好き嫌いが分かれるが、ヤギが激しく角をぶつけ合う「闘ヤギ(ヒージャーオーラセーなどと呼ばれる)」は今でも各地で開催され、人気が高い。文化的にもヤギが沖縄に根付いている証左だろう。
家畜であり、ペットにもなり得る。そんな独特の距離感で沖縄社会に溶け込むヤギたちにレンズを向けると、そのまなざしは、いとおしく、時に切なく映る。【喜屋武真之介】
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沖縄で生まれ育った写真記者が、改めて各地を巡り、写真で故郷を切り取る。新しい発見はあるのだろうか……。ウェブ連載「うちなー巡行」をスタートします。
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