天皇陛下、戦後80年に「人々の努力で平和が築かれた」 年頭で感想
毎日新聞 / 2025年1月1日 0時0分
天皇陛下は2025年の年頭にあたり、宮内庁を通じて感想を公表された。陛下は今年が戦後80年であることに言及し「人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられた」と記した。ただ、現在も戦争や紛争で多くの命が失われていることを悲しみ、「平和な世界を築くために、人々がお互いの違いを認め合い、共に手を携えて力を合わせていくことが大切」とつづった。
陛下は、昨年の能登半島地震などの自然災害や物価上昇に触れ、「多くの人にとってご苦労の多い年であったと思います」と案じ、「今年も、人々がお互いを思いやり、支え合いながら、さまざまな困難を乗り越えていくことができるよう願っています」とした。
宮内庁は今年、天皇、皇后両陛下が戦没者を追悼し、平和を祈念するために広島、長崎、沖縄を訪ねることを検討している。宮内庁の西村泰彦長官は昨年12月26日の定例記者会見で「戦後80年は一つの節目であり、天皇陛下も後世に正しく戦争の悲惨さなどを伝えていかなければいけないというお気持ちです。おぼしめしを踏まえていろいろなことを計画していきたい」と述べた。【高島博之】
天皇陛下の感想全文
天皇陛下が2025年の年頭に当たり、宮内庁を通じて公表された感想の全文は次の通り。
昨年は、年初の能登半島地震を始め、台風や豪雨などによる災害が各地で発生したほか、物価の上昇などもあり、多くの人にとってご苦労の多い年であったことと思います。困難を抱えている人々のことを案じると同時に、そのような人々のため、また、社会のために地道に活動に取り組んでいる人も多いことをうれしく思っています。今年も、人々がお互いを思いやり、支え合いながら、さまざまな困難を乗り越えていくことができるよう願っています。
今年は、戦後80年の節目を迎えます。終戦以来、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられた一方で、現在も戦争や紛争により、世界各地で多くの人の命が失われていることに深い悲しみを覚えます。平和な世界を築いていくために、人々がお互いの違いを認め合い、共に手を携えて力を合わせていくことの大切さを感じます。
新しい年が、我が国と世界の人々にとって、希望を持って歩んでいくことのできる年となることを祈ります。
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