輪島の「アマメハギ」、仮設住宅回り厄払い 「たくましい子に」
毎日新聞 / 2025年1月4日 17時30分
能登半島地震の発生から2年目を迎えた石川県輪島市では、被災当時に中止になった年明けの伝統行事などが開催された。参加者は昨年の被災時を振り返りながら、2年ぶりに地元で行事ができたことに安堵(あんど)していた。
輪島市門前町皆月地区では2日、国指定重要無形民俗文化財の行事「アマメハギ」があった。
「ウォーッ」「連れて行くぞー」。仮設住宅の集会所に、ノミを金づちで打ち鳴らしながら、テングなどの面を付けた地元青年会の若者が現れると、子供たちが泣き叫んだ。
「アマメハギ」は仮装した若者が地域の家を訪れ、怠け者を戒めたり、おはらいをする行事。輪島市河井町や輪島崎町、同県能登町でも同様の行事がある。「能登のアマメハギ」として2018年、秋田県男鹿市の「男鹿のナマハゲ」などと共に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。
この日は地元青年会の男性ら8人が2組に分かれ、奇声を上げながら民家約40軒と仮設住宅を回り、厄払いした。皆月地区出身の美容師、山本美咲さん(25)は地震当時、おなかにいた長男の流季ちゃん(11カ月)と参加した。昨年の正月は門前町の夫の実家で被災し、車中泊も経験した。「この子もアマメハギが経験できて良かった。強くたくましい子に育ってほしい」と話した。
行事を取り仕切る皆月日吉神社の番場誠宮司(62)は「昨年の今ごろは、水や情報を絶たれて真っ暗な中、過ごしていた。何とか開催できてうれしい」と胸をなで下ろした。皆月地区は地震前に約80~90世帯が暮らしていたが、戻ったのは仮設住宅に住む人を含め約50世帯といい、「行事を続けることで、集落に戻ろうという人が出てくればありがたい」と話していた。【国本ようこ】
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