青森の記録的大雪、「線状降雪帯」関係か 海面水温上昇などで雪雲
毎日新聞 / 2025年1月5日 16時22分
青森県では年末年始にかけて記録的な大雪となり、県は12年ぶりに豪雪対策本部を設置した。大雪の原因について、専門家は次々に積乱雲ができる線状降水帯ならぬ「線状降雪帯」とみている。どういうことなのか。
気象庁によると、1月5日午前7時の積雪は青森市で139センチ、弘前市で111センチなど、津軽地方を中心に平年の3倍を超えている。市道など生活道路を中心に除雪が間に合わず、交通渋滞が起きている。
なぜ、これほどの大雪になっているのか。もともと青森市は雪が降りやすい地形とされる。市の北西に位置する津軽半島方面から吹く北西の風と、市中心部から見て南東部にある八甲田山系を迂回(うかい)した南西の風がぶつかって上昇気流が発生。上空で水蒸気が冷やされて氷のつぶができ、雪雲になりやすいためだ。
今回の大雪は、それに加えて「線状降雪帯」の発達が関係しているという。
気象学が専門の立花義裕・三重大教授によると、2024年12月以降、極東ロシアの東南端辺りから線状の雪雲が次々と青森県側に流れ込むことによって、大雪をもたらしている。
立花教授は「雪雲の発達の原因は主に二つあり、いずれも地球温暖化が関係している」と指摘する。
一つは周辺の海面水温の上昇だ。夏場の猛暑の影響で、青森県の北西方向の日本海では、平年より約3度も水温が高い地点があり、冬でも海からの水蒸気が大量に発生している。
もう一つは、北極の寒気が分裂して一部が極東ロシアの東南端付近まで南下していることだ。このため、上空の強い寒気によって海からの大量の水蒸気が冷やされて雪雲が発達したという。
青森県内は昨冬、雪が少なかった。シベリアからの寒気の流れ込みが少なかったことが影響している。立花教授は「まさに風任せ。ひとたび寒気が来れば大雪になるという極端現象が起きている。地球規模で温暖化の原因である二酸化炭素の排出を減らし海水温を下げなければ、異常気象は続く」と警鐘を鳴らす。【足立旬子】
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