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「豊漁だったから」「気持ちわかる」 鹿島沖の悲劇に銚子の同業者は

毎日新聞 / 2025年1月6日 21時7分

転覆した漁船に乗っていた行方不明者を捜索する海上保安庁や漁業関係者の船=茨城県の鹿島漁港沖で2025年1月6日午前9時49分、本社ヘリから藤井達也撮影

 銚子漁港にも近い茨城県・鹿島港沖で巻き網漁船が転覆し2人が死亡、3人が行方不明となった6日未明の海難事故。今年初のイワシ漁が、悲劇に見舞われた。乗組員らの救助拠点となった千葉県銚子市の銚子漁港には同漁船や漁業関係者らが集まり、対応に追われた。

 同日、同じ海域でイワシ漁をしていたという銚子市の漁業者は、「(5日午後8時ごろまでは)波はそれほどなかった。冬は荒れる日が多く、漁に出られる日が少ないが、(今回は)豊漁だったのでたくさん積もうとしたのかもしれない。(転覆したのは)知っている漁船なので(行方不明者が)心配だ」とうつむいた。

 別の漁業関係者は「転覆したのは巻き網漁で船団を組んでいたうちの一つで、魚が多く入り過ぎ、引き上げの時にバランスを崩した可能性がある」と推し量った。

 以前、巻き網漁船の船主だったという男性(83)は「魚の重みで網が上がらなくなったことがあったが、網の口を開け、魚を逃がすことで難を逃れた。最近の網は頑丈で切りにくかったのかもしれない。救命胴衣は付けているはずなので、早めに海に飛び込めれば、周りにいる運搬船などに助けてもらえる。少しでも多くの魚を求める気持ちは痛いほど理解できる。漁の実情を知ってるだけに、事故は本当に悲しい」と話した。

 銚子市内で同日、この漁船が所属していた大津漁業協同組合(茨城県北茨城市)の鈴木徳穂組合長と坂本善則専務理事が報道陣の取材に応じた。坂本専務理事は「事故原因に関しては、まだはっきりしたことは言えない。(海上)保安部にお任せしている」とし、「1日も早く、行方不明者の捜索に全力を挙げる」と話した。【近藤卓資、林帆南】

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