上皇后美智子さま歌集「ゆふすげ」出版へ 未発表の466首収録
毎日新聞 / 2025年1月7日 14時25分
上皇后美智子さま(90)の未発表だった歌466首を収めた「歌集 ゆふすげ」(岩波書店・1980円)が15日に出版される。歌人として高い評価を受ける美智子さまが折々に詠まれてきた歌の中から、皇太子妃だった昭和の時代から192首、皇后であった平成の時代から274首を収録している。
<いち早く木叢(こむら)は萌ゆる緑にて照り葉まばゆき島の昼なか>
年代別に掲載された歌集は1968(昭和43)年4月、美智子さまが33歳の時に訪れた鹿児島県・奄美大島の自然や人々の営みを詠んだ6首から始まる。
歌を選んだのは歌人で細胞生物学者の永田和宏さん。宮内庁御用掛として皇室で歌の相談役を務めており、上皇ご夫妻の歌を読み解くことで足跡をたどった「象徴のうた」の著者でもある。
永田さんは令和への代替わり後、美智子さまの側近に歌作の状況を尋ねる中で、未発表の歌が多くあることを知った。歌集の解説文で「皇太子妃、皇后、上皇后という特殊な立場を離れて、純粋に現代の歌人の一人として読まれるべきもの」「未発表のままに誰の目にも触れずに残っているのは何としても残念」と評し、美智子さまの側近を通じて出版を強くすすめたという。
<三日(みか)の旅終へて還らす君を待つ庭の夕すげ傾(かし)ぐを見つつ>
74年のこの歌をはじめ、かれんな黄色の花を咲かせるユウスゲを題材にした歌が多く収められている。ユウスゲは美智子さまが戦争末期に疎開し、結婚後は上皇さまらと静養で過ごした軽井沢を彩る花だ。美智子さまは住民から贈られたユウスゲの種を庭にまいて育て、採取した種や苗を再び軽井沢に届けるなどしてきた。永田さんのすすめで歌集のタイトルになった。
美智子さまは幼い頃から歌に親しみ、上皇さまとの結婚が決まってからは歌人の五島美代子(78年死去)の指導を受けた。歌からは上皇さまや家族との何気ない日常を慈しむ姿や、身近な自然をいとおしむ感性がうかがえる。また、災害や戦争などをテーマにした歌からは困難な状況にある人々に寄り添い続けようとする姿勢が浮かぶ。
平成の皇后としての暮らしは2019年4月末に終えた。歌集最後の歌は、代替わり前年の18年3月に上皇ご夫妻で訪ねた沖縄の仏桑華(ぶっそうげ)(ハイビスカス)を詠んだものだった。
<年経(ふ)るも全(また)けく生くる人多(さは)に仏桑華咲く島は明るし>
【高島博之】
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