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「6年3組の阪神大震災」音楽劇で12年ぶり公演へ 児童の日記もとに

毎日新聞 / 2025年1月8日 6時15分

舞台化された「6年3組の阪神大震災」=2010年、神戸での公演(劇団自由人会提供)

 阪神大震災(1995年)で児童が犠牲になった兵庫県西宮市の小学校でつづられた日記を基にした演劇「6年3組の阪神大震災」が12、13日、神戸市兵庫区の新開地アートひろばホールで12年ぶりに上演される。全国で500回を超えるロングラン公演をした作品で、神戸のプロ劇団「自由人会」が震災30年を機に音楽劇としてリニューアルした。

 震災で西宮市立樋ノ口小6年3組は、女児1人が自宅で下敷きになって亡くなった。2週間後に学校が再開した時、担任だった松田満さん(69)は子どもたちにたまった思いを吐き出させるため、震災前から日課にしていた日記を再びつけさせた。

 学校は避難所となり、児童は被災者と「同居」しながら学んだ。友達が突然亡くなった衝撃や悲しみ、電気やガス、水道など当たり前に享受していたものがなくなったことへの戸惑い、ボランティアの炊き出しで食べた温かいうどんのありがたさ……。子どもたちから見た震災後の日々がつづられ、松田さんが抜粋して学級通信として発行した。出版社の目に留まり、95年3月に書籍化された。

 同劇団代表の森もりこさん(69)は本を読み、震災から人のぬくもりを学び、成長していく子どもたちの姿に心を打たれた。全国の学校を巡業するプロ劇団を94年に旗揚げしたばかりだったが、震災で神戸市東灘区にあった稽古(けいこ)場や事務所が全壊し、多くの団員が住まいを失っていた。

 「これからどうすればいいのか、途方に暮れる中で、私が6年3組の子どもたちに元気をもらった。これをぜひ舞台化したいと思った」。95年12月に西宮市で初演した。

 その後、全国各地の小中学校で公演。東日本大震災後には岩手県の子どもたちにボランティアで舞台を届けた。しかし、阪神大震災への世間の関心が薄れるとともに作品への依頼は減り、2013年の約540回から途絶えていた。

 森さんは震災30年を前に「震災に負けずに学んでいた当時の子どもたちのことを知ってもらいたい」と再演を決意。観劇した人に「震災は怖い」だけのイメージを持たれないようせりふをすべて歌にし、ヒップホップダンスや足を踏み鳴らすストンプを取り入れた音楽劇につくりかえた。

 オーディションで選んだキャストのほとんどは震災の記憶がない20~30代。少しでも当時の子どもたちの思いに迫ろうと、24年暮れに樋ノ口小を訪れて、松田さんからも話を聞いた。

 森さんは「震災当時は大変だったが、この30年間で演劇を続ける環境はより厳しくなっている」と話す。新型コロナウイルス禍の3年間、公演予定は真っ白になった。今、学校からの依頼は少しずつ戻っているが、物価高や少子化で採算を取るのが難しくなっている。「それでもみんなと同じ空間で泣いたり笑ったりできる演劇でしか伝えられないものがある。この舞台から子どもたちにある生きる力を伝えたい」と話す。

 12日午後3時半と午後7時、13日午前11時半と午後2時半の4回公演。前売り一般3500円、高校生以下1000円。前売りチケットの購入は9日までに劇団のホームページ(http://jiyuujinkai.jp/)で。【山本真也】

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