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「都心最後の一等地」にスタジアム 再開発で変わる東京の台所・築地

毎日新聞 / 2025年1月8日 11時15分

再開発が予定されている築地市場跡地=東京都中央区で2024年12月1日午後0時27分、島袋太輔撮影

 オフィスビルやタワーマンションが林立する東京都中央区の臨海部。隅田川の河口沿いに、ぽっかり空いた築地市場の跡地が広がる。この跡地が2024年12月、市場の閉鎖後に初めて一般公開された。

 「東京でここまで広い土地は貴重だ。水辺と緑を生かし、世界中から訪れたいと思える街づくりを進めている」。案内役のスタッフが見学者に強調した。

 街づくりとは、スタジアム建設を中心とした再開発のことだ。計画によると、スタジアムは多機能型で、スポーツやコンサート、演劇といった用途に合わせて客席などの配置を変更できる。

 商業施設やホテル、食文化を発信する施設やマンションを建設し、次世代の乗り物として注目が集まる「空飛ぶクルマ」の発着場も整備する。25年度に着工し、29年度に一部開業、スタジアムなどの中核施設は30年代前半の開業を見込む。

 市場の跡地は、東京ドーム4個分に当たる約19ヘクタール。銀座から1キロほどしか離れておらず、「都心最後の一等地」と言われる。所有する都は24年、三井不動産を代表とする11社の企業連合を再開発事業予定者に選んだ。

上質の食材に「世界の築地」

 築地市場は1935年に開業し、「東京の台所」と呼ばれた。老朽化によって2018年に豊洲(江東区)に移転するまで、国内最大の卸売市場として水産物や青果物を各地に供給した。市場の活況とともに街が発展しただけに、街の人は跡地の再開発に期待を寄せる。

 跡地の隣には現在も築地場外市場がある。鮮魚や青果、調理器具を扱う店や飲食店など約400の店舗がひしめく。朝は業務用の仕入れをする人、昼からは買い物客や訪日外国人客らでにぎわう。NPO法人「築地食のまちづくり協議会」の北田喜嗣理事長(66)は「市場は豊洲に移ったが、上質の食材が集まる築地は世界に名が通っている」と胸を張る。

 再開発の事業予定者は「食文化の発展とにぎわい」を掲げ、跡地にはグルメを楽しむ場所に加えて、食の研究施設を整備する方針だ。北田理事長は「再開発エリアと場外市場が相乗効果によって、ともに活気にあふれてほしい」と望む。

「海」と「空」をつなぐ計画も

 東京の臨海部の将来像を描く上で鍵を握るのが、都心部・臨海地域地下鉄(臨海地下鉄)の事業計画だ。都の計画案では、東京駅から東京ビッグサイトまでをほぼ最短距離で結ぶ。

 総延長は6・1キロで、全7駅を新設する。駅名は全て仮称で「東京」から順に、「新銀座」「新築地」「勝どき」「晴海」「豊洲市場」「有明・東京ビッグサイト」を想定する。2040年までの開業を目指した準備が進む。

 運営は、りんかい線を運行する「東京臨海高速鉄道」が主体となる。りんかい線には、JR東日本が羽田空港発着の「羽田空港アクセス線」の相互乗り入れ運転を行う構想がある。この構想が実現し、りんかい線と臨海地下鉄が接続できれば、臨海部と羽田とのアクセスが向上する。

 都の都市政策に関わってきた明治大の市川宏雄名誉教授は、30年代の再開発の中心は臨海部に移ると指摘した上で「築地はその拠点と言える。臨海エリアが空の玄関口とつながればますます注目され、発展するはずだ」と期待している。【島袋太輔】

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