「子どもたちを日常に」 北九州中3殺傷 広がる心のケア
毎日新聞 / 2025年1月9日 17時25分
北九州市小倉南区のファストフード店で中学生2人が殺傷された事件は、子どもたちの心に大きなダメージを与えた。市教育委員会は事件直後から児童・生徒の心のケアを継続しており、学習塾なども安全対策に乗り出している。
市教委によると事件後、不安などを理由に学校を休んだ児童・生徒は延べ1万人超に上った。市教委は小中学校に派遣するスクールカウンセラーを増員し、相談体制を拡充。子どもたちの心や体の不調に気付くためのチェックリストを作成し、学校を通じて保護者に配布した。
3学期が始まった今月8日からは市内の小中高校などの児童・生徒を対象に、心身の状態を把握するためのアンケートを実施。不安を抱える子どもには担任やカウンセラーらが対応に当たる。また、地域住民らによる登下校時の見守り活動も継続する予定だ。市教委は「子どもたちを日常に戻してあげられるよう、心の健康を観察して不安を取り除きたい」としている。
事件の影響は学習塾などにも広がる。事件現場近くにある複数の塾では、出入り口の自動ドアを手動にし、中に入ってくる人を職員が一人一人確認したり、入り口付近に障害物を置いて不審者が入ってきた際に子どもたちが逃げる時間を確保できるようにしたりするなどの対策を取る。オンライン授業に切り替えた塾もあった。
事件後、周辺の見守りを実施している塾の担当者は「子どもたちは少しずつ落ち着きを取り戻しているが、不安を訴える声があった時にはいつでも応じられる態勢は整えている」と話した。
事件がマクドナルドの店舗で発生したことを受け、日本マクドナルドは全国の約3000店舗に、防犯カメラなど安全設備の再点検や不測の事態が起きた際の対処法を定めたガイドラインの確認などを指示した。日本マクドナルドは「より一層お客様が安心して食事を楽しめる環境作りに努めたい」としている。【井土映美、城井謙治、反田昌平】
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