東京女子医大、私学助成金にも影響か 元理事長を背任容疑で逮捕
毎日新聞 / 2025年1月13日 10時41分
東京女子医科大(東京都新宿区)の新校舎の建設工事で、不正に1億円超の報酬を支払わせて大学に損害を与えたとして、警視庁捜査2課は13日、同大の元理事長、岩本絹子容疑者(78)=東京都江戸川区=を背任容疑で逮捕した。東京女子医大は不適切なガバナンス(組織統治)が問題視され、文部科学省の外郭団体「日本私立学校振興・共済事業団」(私学事業団)を通じた2024年度の私学助成金の判断が保留とされている。大学は役員体制を一新してガバナンス強化をアピールしているが、岩本絹子元理事長の逮捕は私学助成金交付の可否に影響を及ぼす可能性がある。
私学助成金の配分は各大学の申請に基づき、私学事業団が交付の可否を判断する。女子医大は23年度、減額なしで約20億円を受け取っていた。
24年度分については多くの大学に対して24年10月に判断が示されている。しかし、女子医大への交付について私学事業団は交付可否の決定を保留して判断を1月に持ち越した。
理由について担当者は「文科省が提出を求めた改善計画の内容を考慮するため」と説明。女子医大は24年10月末に文科省に改善計画を持ち込んだが、内容について指摘を受け修正を迫られたという。
一方、これに先立つ10月23日には女子医大の理事全員が辞任。「岩本体制」では理事の大半が学内の人材だったが、新たな理事は13人中6人を外部から登用し、刷新をアピールした。
ただ、理事長候補者を巡っては当初、岩本容疑者とのつながりを懸念する声が上がるなど、内部でもめ事が続いていた。既に選ばれていた新学長が急きょ理事長を兼任することになり、元財務官僚の清水治氏が新理事長に選任されるまで1カ月半を要した。
また、私学事業団の助成金の「取扱要領」は、学校経営に関わる事件で役員が逮捕・起訴された場合、助成金が不交付や減額の対象になると規定している。解任された元役員であっても学校経営に大きな支障を与えたと判断されれば、私学助成金が不交付となる可能性もある。
私学助成金はいったん不交付となると、翌年度も原則不交付となり、運営に改善が認められれば減額幅が段階的に縮小される。【井川加菜美、斎藤文太郎】
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