阪神大震災30年 亡き11歳と上皇ご夫妻を結ぶ「はるかのひまわり」
毎日新聞 / 2025年1月14日 16時53分
発生から30年を迎える阪神大震災の被災地と皇室のつながりを示すヒマワリが、昨夏も皇居で大輪の花を咲かせた。元々の種は20年前に上皇ご夫妻が震災の遺族から譲り受けられた。発災間もない時期から被災地に足を運び復興の歩みを見守り続ける一方、皇居でも花を育て、次の種へと受け継いできた。
皇居に植えられているのは、「はるかのひまわり」。震災で亡くなった神戸市の加藤はるかさん(当時11歳)の自宅跡に咲き、その種が各地に広がり、復興の象徴となった。皇居で一般公開されている庭園の東御苑の本丸休憩所の近くで、2006年から栽培されている。
皇居で育てるきっかけは、05年1月にさかのぼる。震災10年の追悼式典に出席した上皇ご夫妻(当時は天皇と皇后)に、震災で家族を亡くした小学生が種を手渡した。ご夫妻は住まいの皇居・御所の庭にまき、その年の夏に咲いた花の種を宮内庁に渡し、東御苑での栽培が始まった。
上皇さまは19年1月16日、平成最後の歌会始の儀に、はるかのひまわりを詠んだ歌を寄せた。
<贈られしひまはりの種は生え揃ひ葉を広げゆく初夏の光に>
天皇の代替わりで、上皇ご夫妻は20年3月末に皇居を離れた。仮住まい先の仙洞仮御所(東京都港区高輪)を経て、現在の住まいの仙洞御所(港区元赤坂)に引っ越したが、いずれの庭でもヒマワリを育て続けている。
また、ご夫妻は東日本大震災で津波被害を受けた岩手県大槌町のホテルから、震災前に贈られていたハマギクも栽培しており、側近は「大変な災害があったことを忘れず、心に留めておくために大切に育てておられるのだろう」と話している。
■ ■
天皇、皇后両陛下は16、17日に神戸市を訪れ、30年追悼式典に出席するほか、地域の復興に取り組んできた人々や、被災体験を聞き取って語り継ぐ活動をしている高校生らと懇談される。【高島博之】
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