東京女子医大背任 元理事長にさらに5000万円還流か 別工事巡り
毎日新聞 / 2025年1月15日 18時45分
東京女子医科大(東京都新宿区)の新校舎建設工事を巡る資金流出事件で、逮捕された元理事長の岩本絹子容疑者(78)に、別の建設工事で1級建築士に支払われた報酬のうち約5000万円が還流されていた疑いがあることが捜査関係者への取材で判明した。警視庁捜査2課は、岩本容疑者が大学から少なくとも計約8700万円を自らに還流させていたとみている。
捜査関係者によると、1級建築士の男性(68)は2016年4月に大学に非常勤で採用された。18年7月~22年2月には給与とは別に、大学施設の新築工事などに関して、「建築アドバイザー報酬」として計約3億1000万円を受け取っていた。
岩本容疑者はこのうち、新校舎2棟の建設工事で18年7月~20年2月、業務実態がない建築士の男性に報酬を支払うなどし、大学に計約1億1700万円の損害を与えたとして背任容疑で逮捕された。報酬から約3700万円を自身に還流させていたとみられる。
また、男性は東京都足立区の新病棟建設工事でも20年3月~21年9月、計約1億5000万円の報酬を受け取っていた。このうち約5000万円が岩本容疑者に還流された疑いがあるという。
報酬は新校舎の時と同様に、岩本容疑者の指示で開設された男性名義の口座に振り込まれていた。警視庁は新病棟建設工事での男性の業務実態についても調べている。
新校舎2棟の報酬に関しては、岩本容疑者が男性への約1億4000万円の支払いを求める稟議(りんぎ)書の作成を、自身の側近とされる女性(52)に指示していた。女性は当時、施設管理を担当する経営統括部の次長で、稟議書は18年2月に、大学の理事会に諮られた。
岩本容疑者はその際、稟議書を経営統括部の責任者として自ら承認し、理事会に提出していたという。理事会では、当時副理事長だった立場も利用し、男性への報酬額が他と比較して安価な点などを主張し、支払いが認められるよう主導したとされる。
新校舎建設で建築士の男性に支払われた報酬のうち、税金を差し引いた額の3分の2にあたる約3700万円を、稟議書を作成した側近とされる女性が現金で受け取り、全額を岩本容疑者に渡していたとされる。還流した資金はブランド品の購入などに流用されていたとみられる。
警視庁は岩本容疑者の関係先から、約4億円相当の現金や金塊を押収。男性や側近とされる女性も背任容疑で任意で聴取し、資金の流れを詳しく調べている。【遠藤龍、菅健吾】
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