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加熱式×で過料徴収は4区のみ 東京23区の路上喫煙、対応に差

毎日新聞 / 2025年1月19日 8時0分

東京都渋谷区では、指定の喫煙所を除く公共の場所での喫煙を禁じ、違反者には2000円の過料を科している=同区で

 紙巻きだけでなく、加熱式のたばこも路上喫煙を禁じる条例の対象とし、違反者に過料を科しているのは、東京都23区で4区にとどまることが、毎日新聞の取材で明らかになった。

 加熱式は発売から10年余となり、喫煙者の4割を占めており、専門家は「紙巻きたばこと同様の規制をかけるべきだ」と話す。

足立、渋谷、品川、千代田の4区

 加熱式たばこは、火を使わずに専用器具を使ってタバコ葉を電気で加熱し、ニコチンを含んだ蒸気を吸う。

 2013年、日本たばこ産業が国内で「プルーム」を発売。フィリップモリスジャパンの「アイコス」やブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの「グロー」も全国展開を始めた。

 従来ある「紙巻きたばこ」に比べて、タバコ葉の燃焼による煙が発生せず、臭いも少ないことから支持を拡大。日本たばこ協会によると、23年度の国内たばこ販売量の4割を占める。

 23区は、いずれも条例で、区内の全域や指定区域での路上喫煙などを禁じている。

 足立区が今月から、加熱式も過料の対象に加えたことから、各区に対応を尋ねた。

 紙巻きだけでなく、加熱式の喫煙も規制の対象としている品川区では違反者から1000円、渋谷区でも2000円を徴収している。

 千代田区は24年11月から、2000円の過料対象に加熱式を加えた。

 これまでは、ニコチンを含まない香料などを加熱して蒸気を吸入する「電子たばこ」との違いが見分けにくいことから、紙巻きに限っていた。

 加熱式の普及に伴って、紙巻きと同様に受動喫煙への苦情が寄せられるようになったため、対象に加えたという。

「マナー啓発で一定の効果」

 紙巻き、加熱式を問わず、違反者に過料を科しているのは上記の4区にとどまる。

 杉並区は、条例施行から、しばらくは過料を科していたが、費用対効果などを理由にマナー啓発に注力する方針に転換。14年以降は徴収していない。

 墨田、大田、中野、北、板橋、練馬、葛飾の7区は、条例で「違反者に2万円以下の過料」などと明記している。

 ただ、これを適用する「重点地区・地域」や施行日を決めていないことなどから、実質的な効力がない状態になっている。

 北区の担当者は「職員が巡回するタイミングによって徴収できないなど、公平性が担保できないことや、人員確保の難しさを考慮した対応だ」と説明する。

 中央、新宿、江戸川など11区は、条例に違反者への過料が盛り込まれていない。

 「私道や民間駐車場での路上喫煙が多く、過料を設定しても徴収できない」(中央区)、「罰則よりも啓発に力を入れることが有用」(江戸川区)などが理由という。

たばこは、「火のついたもの」の定義

 一方で、「たばこの火が危ない」などの観点で条例を定める新宿、世田谷、豊島、練馬の4区は、たばこに加熱式は含まれない。ただ、新宿、豊島の2区は「今後の検討課題」とした。

 喫煙対策に詳しい産業医科大の大和浩教授は「加熱式の受動喫煙も、アレルギーやぜんそくの持病がある人や香りで体調を崩す人には発作の原因となる。喫煙所以外での加熱式の喫煙は過料対象として規制すべきだ」と提言する。【まとめ・松山文音】

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