「桜田門外の変」が和解? 滋賀・彦根市と鹿児島市が交流連携協定
毎日新聞 / 2025年1月18日 9時0分
歴史的なつながりが深い滋賀県彦根市と鹿児島市が16日、交流連携協定を締結した。この日、鹿児島市から下鶴隆央市長(44)と島津家代表の島津忠裕さん(52)が彦根市を訪問。彦根藩井伊家菩提(ぼだい)寺で墓参りした後、彦根城内の玄宮楽々園で締結式をした。彦根市はこれまでに高松市(1966年)、水戸市(68年)、栃木県佐野市(69年)と交流協定を結んでいる。
彦根市総務課によると、県議会の有村国俊議長(60)が両市に呼びかけ実現した。桜田門外の変(1860年)で井伊家13代直弼(なおすけ)が水戸浪士らに暗殺された。これに参加した薩摩浪士、有村次左衛門の弟が有村議長の祖先にあたり、薩摩藩主だった島津家も立ち会って和解することになった。既に水戸市とは、井伊家16代直愛(なおよし)氏が彦根市長時代、1968年の「明治維新100年」を機にわだかまりを捨て、親善都市となっている。
一方、関ケ原の戦い(1600年)でも井伊家初代直政(東軍)と島津義弘(西軍)が争っている。西軍は敗れたが、島津家と徳川将軍家の和平を直政が仲立ちしたとされる。
締結式に先立ち、彦根市古沢町の清凉(せいりょう)寺で有村議長、和田裕行・彦根市長(54)、井伊家18代直岳(なおたけ)さん(55)が出迎え、直政の墓前で手を合わせた。島津忠裕さんは「幕末における井伊直弼公と島津斉彬(なりあきら)は深く学問を修め、広く人脈を築き、見識を養った。直弼公は幕政の立て直しに尽力され、斉彬は西洋の科学技術を積極的に取り入れて近代化事業を推進した。国の発展を願う信念は共通していた」などとあいさつした。有村議長も「桜田門外の変から165年、関ケ原の戦いから425年。このような節目の年に新たなご縁を結ばせていただき、感慨無量の思い。彦根、鹿児島両市はいろんな困難もあったが、さらなる発展を目指していくことを祈念します」と述べた。【伊藤信司】
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