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共通テスト、浪人生はピークの3分の1 「大学全入時代」到来か

毎日新聞 / 2025年1月17日 17時53分

大学入学共通テストの東京大本郷試験場の正門が開き、受験票を手に会場入りする受験生ら=東京都文京区で2025年1月18日午前8時、西本紗保美撮影

 大学入学共通テストを受ける浪人生が減っている。今回の志願者約49万5000人のうち、浪人生を中心とする「既卒者」としての志願者は6万4974人で全体の13・1%にとどまり、ピーク時の約3分の1に減少した。少子化に加え、大学が「入りやすい」存在になったという変化が背景にある。

 大学入試センターによると、既卒者数のピークは1995年1月実施の大学入試センター試験(当時)で19万5921人。全体の志願者に占める割合は35・1%で、およそ3人に1人が浪人生だった計算となる。

なぜ、浪人生が減ったのか

 要因は、少子化で志願者数自体が縮小傾向にあることだ。志願者数のピークは2003年1月の試験で60万2887人。今回は49万5171人で2割近く減少した。ただ、既卒者は当時の15万7812人から6割近く減っており、少子化だけでは説明がつかない。

 もう一つの原因が、少子化が進行する一方で大学の入学定員が増えていることだ。

 文部科学省の集計では、18歳人口はセンター試験が始まった90年が約193万人だったのに対し、24年は約109万人に減少。しかし、国公私立大の定員はその間、約43万人から約63万人と逆に20万人近く増えた。

 文科省によると、24年度の大学入学者数は募集定員の総計を下回った。記録が残る10年度以降で初めてのことだ。志望する大学を選ばなければ全ての受験生が入学できる「大学全入時代」が本格的に到来した可能性がある。

家計も影響?

 家計が影響しているとの見方もある。東北地方のある進学塾の講師は「地方では特に長期的な景気低迷の影響が出やすい。予備校などに通わせる余裕がなく、『浪人しても第1志望へ』ではなく『合格したところに進学を』と望む保護者が増えた」と話す。

 希少になりつつある浪人生だが、今回の共通テストは緊張感とともに臨むことになりそうだ。「情報Ⅰ」が導入されるなど、現行の学習指導要領に即した「新課程」の試験への移行が始まったためだ。浪人生が現役時代に学んだ内容に基づく「旧課程」も選択できるが、今年限りの経過措置となっており、浪人生には「背水の陣」となる。

 ただ、仮に26年に改めて受験することになっても影響は大きくないとの指摘もある。浪人生専門の塾「リスタート」の岸本泰尚代表は「仮にもう1年浪人することになれば、苦手分野を改めて勉強することになる。新課程の科目であっても十分求めるレベルまで到達できる」と話している。【斎藤文太郎】

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