コスプレ姿の元AKB大西桃香さんを撮影 写真展で奈良の観光地PR

「軍服」のようなコスプレ衣装の大西桃香さん（右）を撮影する藤本礼奈さん＝奈良市柳生町の旧柳生藩家老屋敷で2024年12月19日午後0時6分、山口起儀撮影

　東京で20年間、有名俳優や映画ポスターを撮影していた奈良市出身の写真家、藤本礼奈さん（44）が、俳優をモデルにした撮影で観光地を紹介する新たな取り組みを始めた。一部地域に観光客が集中する奈良県特有の課題解決を目指す企画だ。第1弾で取り上げる観光地は、コスプレーヤーに人気の奈良市東部の柳生町。元AKB48メンバーの大西桃香さんがコスプレ衣装でモデルになり、撮影した動画のウェブ配信や、写真展などで柳生をPRする。

　藤本さんは奈良での活動拠点となる「81Studio」（宇陀市）を2024年10月に設立。奈良公園周辺以外で観光客が伸び悩む点や、宿泊場所に選ばれにくい点などの課題に対し「ウェブサイトなどを活用し、県内のさまざまな観光地を新しいビジュアルで紹介することで観光客の滞在時間を伸ばせないか」と、名所を背景に俳優を撮影することで新たな客層を引きつける企画を考案。最前線で活躍する写真家ならではの経験を生かし、行政や企業など各種機関への売り込みを想定する。

　24年12月19日の大西さんの撮影場所は、柳生観光協会がコスプレ撮影も受け付けている「旧柳生藩家老屋敷」。俳優の撮影会を通じ「コスプレ撮影ができる柳生」のイメージをPRし、さらなる訪問者の誘致を狙った。

　勇ましくも可愛らしい「軍服」のような衣装で臨んだ大西さんは、刀を振り下ろす勇敢なポーズや、笑顔で手を振る仕草で写真や動画に納まった。柳生町の真っ二つに割れた巨石「一刀石」でも同じように撮影した。一刀石は人気漫画「鬼滅（きめつ）の刃（やいば）」に登場する場面に似ていることなどを理由に近年、キャラクターに扮（ふん）した格好で撮影する人たちが増えている。観光協会の三浦孝造会長は「柳生の観光資源の新しいPRに期待したい」と話す。

　大西さんは「奈良らしい場所で撮影できたのがうれしい。AKB卒業後は奈良での仕事が増えているので、これからもっと地元をアピールしていきたい」と笑顔。藤本さんは「奈良の歴史ある地点で撮影することが重要。これからさまざまな場所を紹介し、地域観光の振興につなげたい」と話している。

　柳生で撮影した作品の写真展（無料）は2月7～20日に奈良まほろば館（東京）で、21～28日に奈良公園バスターミナル東棟で開催予定。3月1日には大西さんのトークイベント（有料）をターミナルのレクチャーホールで開く。大西さんは奈良市観光大使も務めており、その経験を基に県の観光課題や思い出の場所などを幅広く話す。また、撮影された動画は市の公式アプリやユーチューブ、鉄道駅の電子広告などでも放映される。

　問い合わせは81Studio（メール[e-mail])へ。【山口起儀】