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カイマンくん、死ぬ 40年以上ワニと生きた73歳「今でも泣きそう」

毎日新聞 / 2025年1月19日 9時14分

カイマンくんの骨つぼを抱える村林順光さん=広島県呉市で2025年1月8日、安徳祐撮影

 広島県呉市の村林順光さんは、昨年11月に死んだペットのワニ「カイマンくん」の飼い主だ。メガネカイマンという種類の雄で、体長約2メートル。メディアやイベントで引っ張りだこの人気者だった。「思い出すと今でも泣きそうになる」。喪失感は大きく、カレンダーは死んだ日のままだ。

 カイマンくんとの出会いは40年以上前。生き物好きで、よく立ち寄っていたペットショップの店主から「買ってくれないか」とお願いされた。当時は体長約30センチ。「話のネタになるし」と5万円で購入した。

 「すぐ死ぬだろう」と思っていたが、カイマンくんはすくすく育ち、あっという間に大きくなった。おとなしい性格で、人をかむことはなかった。リードにつないで近所を散歩していたので、地元で注目を集めた。次第に自らも周囲の人たちから「村林さん」ではなく「ワニさん」と呼ばれるようになった。

 出会いから約1年後、テレビのバラエティー番組に取り上げられたことをきっかけに、ドラマなどに相次いで出演した。「数え切れないぐらい、いろんな人たちに出会わせてくれた」。共演したタレントのヒロシさんや、広島カープで活躍する菊池涼介選手らのサインや写真が今も大事に部屋に飾ってある。

 「カイマン」と呼ぶとゆっくりと近づき、機嫌が悪いと呼びかけを無視した。寝ていると布団に潜り込んできて、ひんやりした体温で目が覚めた。「人生の半分以上、一緒にいた」。何気ない日常がいとおしかった。

 死ぬ1カ月前からカイマンくんは嘔吐(おうと)を繰り返した。広島市内の動物病院に連れて行っても理由は分からない。11月8日未明、寝室でごそごそ動く物音が聞こえたのが最期で、朝になるとカイマンくんは死んでいた。「眠っているようで、呼んだらまたついてきてくれるような気がした。墓でも作ろうと思ったがこれからも一緒にいたい」。火葬したカイマンくんを骨つぼにいれ、今も寝室の仏壇に置いている。死後、カイマンくんに向けて手紙もつづった。「私の育てた自慢の息子・カイマン。ありがとう」

 今でも、ふとしたときにカイマンくんの写真を眺めるという。「『お父さん、わしがいなくなっても頑張れよ』と、エールを送ってくれているような気がする」。そう話すと、声を詰まらせた。【安徳祐】

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