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国立大の3割「授業料標準額の見直しを」 国の引き上げを期待

毎日新聞 / 2025年1月20日 5時0分

授業料標準額に対する考え方

 国立大学の授業料について国が定めた標準額を見直すべきかどうか、毎日新聞が全国の国立大学に聞き取ったところ、全体の約3割にあたる大学が「見直すべき」だと回答した。授業料は大学の判断で標準額から引き上げられるが、値上げを検討している大学は1割に満たなかった。一定数の大学が国による値上げを期待している状況が浮き彫りになり、文部科学省内で標準額引き上げの可否についての議論が加速しそうだ。

 国立大授業料の標準額は現在、国が年額53万5800円と規定している。国立大学法人化を受けて2005年にこの金額になって以降、20年間据え置かれている。

 各大学は標準額を基準に最大2割の範囲で裁量によって上乗せできる。物価高騰や国が配分する運営費交付金の減額などで経営に苦しむ大学もあり、これまで7大学が値上げに踏み切った。さらに東京大は24年9月、25年度の学部入学者から値上げすることを発表した。

 毎日新聞は24年6月、統合前の東京工業大、東京医科歯科大を含む全86国立大学に値上げの意向や標準額のあり方についてアンケートを実施。12月までに78大学から回答を得た。

 アンケートで標準額を見直すべきだと回答したのは27大学あった。一方、標準額を維持すべきだと回答したのは35大学。「その他・無回答」は16大学だった。

 一方、授業料の引き上げを検討していると回答したのは、発表前の東大を含む5大学。検討していないと明言したのは72大学だった。1大学は「その他・無回答」だった。

 競争力の強化や質の高い教育を進めるために必要な対策(複数回答)としては、「国による運営費交付金の増額」を挙げた大学が70大学で最多。次いで「国や自治体による給付型奨学金の拡充」が55大学、「民間からの寄付の募集」が39大学と続いた。「大学が研究や教育の内容・規模・態勢を精選する」とした大学も15あり、財政難が教育や研究の先細りに影響する懸念も浮き彫りになった。

 文科省は少子化の進展を見据えた大学のあり方を文科相の諮問機関・中央教育審議会の特別部会で議論。年度内に取りまとめる答申では、今後5~10年かけて授業料の設定や公的支援のあり方について検討する方向性が示される見通しだ。

 国立大学協会の永田恭介会長は毎日新聞の取材に「現在の標準額は国立大で行われている教育の対価として十分ではない。高いレベルの教育を保ち、向上させるためにはより多くの教育費が必要となる。恐らく全ての国立大が授業料を上げたいと考えているはずだ」と話した。【斎藤文太郎、井川加菜美】

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