核燃料サイクル事業費、工場未完成でも22兆円超 さらに膨らむ見込み
毎日新聞 / 2025年1月24日 5時30分
原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル」のコストが、2006年以降で少なくとも22兆円を超える見通しになっていることが毎日新聞の取材で判明した。その多くは着工から32年たっても完成していない六ケ所再処理工場(青森県)の費用だ。業務を担う日本原燃は工場の完成を26年度としているが、既に27回も完成時期が延期されてめどが立っていないのが現状で、コストはさらに増大する可能性が高い。
再処理工場は、使用済み核燃料から、再利用できるプルトニウムを取り出すための施設。再処理を担う電気事業連合会は04年、工場の運転期間を完成予定だった06年から40年間と仮定し、その後の廃止も含めた費用を18兆8000億円と試算した。長期にわたって国民に負担を求める必要があるため算出したが、完成しないまま19年の時が流れ、その間の事業費を含めてコストが膨張し続けている。
電事連が試算した事業費は25項目。主な費用には▽六ケ所再処理工場の建設、操業▽同工場の廃止▽高レベル放射性廃棄物の処分▽使用済み核燃料を一時的に保管する「中間貯蔵施設」の操業▽再利用して作る燃料加工工場の建設--などがある。
このうち六ケ所再処理工場の建設・操業や燃料加工工場など、再処理事業に関わる17項目の費用は、電事連試算時で13兆9200億円。しかし24年6月時点では3兆6100億円増の17兆5300億円と見込まれていることが、使用済燃料再処理・廃炉推進機構(再処理機構)への取材で判明した。再処理工場の建設費は06年の2兆1500億円から3兆3500億円に膨れていた。
増加要因について再処理機構は「東京電力福島第1原発事故(11年)を受けて強化された事故対策『新規制基準』に適合させるため追加工事が必要になった」と説明する。再処理工場は未完成でも施設の維持、管理費、人件費などもかかっており、今後も積み重なるとしている。
電事連試算のうち、再処理機構の担当ではない事業は8項目、4兆8900億円分。この中で最大の項目は、再処理した後に残る高レベル放射性廃棄物の処分費用(2兆5500億円)だった。この費用の現状について電事連は「試算しておらず答えられない」としている。【大島秀利】
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