大久野島ウサギ暴行 容疑者取り押さえた写真家夫妻「ごめんね」
毎日新聞 / 2025年1月28日 8時0分
「ウサギの島」として知られる広島県竹原市の大久野島でウサギを蹴ったとして、25歳の男性会社員が動物愛護法違反容疑で現行犯逮捕された事件。現場で容疑者を取り押さえたのは、大久野島で25年近くウサギを撮影してきた写真家の夫妻だった。島ではウサギの不審死が続いていたため、容疑者の逮捕で2人はほっとした半面、1匹のウサギに対して「ごめんね」と声を震わせた。
「うさぎ写真家uta」として活動する中村隆之さん(49)と麿矢さん(46)夫妻は、定期的に住まいがある熊本県合志市から車とフェリーで約6時間かけて島を訪れる。撮影では夜明け前からスタンバイ。ウサギの目線と同じ高さからかわいい表情や仕草を写すため、しゃがんだ姿勢を数十分維持して撮影する。
環境省中国四国地方環境事務所によると、島には500匹以上のウサギが生息しているが、2024年11月下旬から今月中旬までの間に、少なくとも77匹のウサギが鼻や口から血を流したり、骨折したりして死んでいるのが見つかった。先月も島を訪れていた中村さん夫妻は、ウサギが不自然に死んでいると聞いていた。
今月20日に再び島を訪れた2人は、翌日早朝から怪しい動きをする人物がいないか周囲を警戒しながらウサギを撮影した。午後、巣穴から頭を出して死んでいるウサギを発見。その日の朝に撮影したウサギで、2人は容疑者が近くにいると確信した。
島内を捜索していると、傷んだニンジンを持ちながら不審な動きをする男性を見つけた。その近くにはウサギがいる。近くで身を潜め、約1時間半じっと様子をうかがった。周囲が暗くなり始めた午後5時半、男性は足もとにいたウサギを蹴り飛ばした。中村さんは、反射的に男性の方向へ駆け寄り取り押さえた。
中村さん夫妻や近くにいた人に取り囲まれた男性は、ほとんど抵抗しなかったという。約1時間半後、島に到着した警察官に男性を引き渡して一息つくと、中村さんの中で一つの後悔が生まれた。
それは、蹴られたウサギがまもなく死んでしまったことだ。「容疑者を捕まえるために、蹴られる瞬間を押さえる必要があった。亡くなったウサギには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」
逮捕の翌日、2人はウサギに「無事で良かったね」と心の中で語りかけながらいつものように撮影した。中村さんは「もう二度と同じような被害を受けるウサギを見たくない。残酷な現実を無くしたいという思いを持ちながら、今後も撮影を続けていきたい」と語った。【井村陸】
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