原爆小頭症の岸君江さん死去 78歳 自らの境遇を語り続ける
毎日新聞 / 2025年1月27日 18時45分
妊娠早期の母親の胎内で原爆の放射線を浴び、脳や体に複合的な障害を負った原爆小頭症の被爆者で、自身の体験や核兵器廃絶を訴えてきた広島県三次市の岸君江さんが27日、高血糖高浸透圧症候群のため死去した。78歳。
厚生労働省によると、原爆小頭症の被爆者は岸さんを含めて全国に12人(2024年3月現在)。脳に重い障害を負って生まれた人が多く、岸さんのように自らの境遇や核兵器の被害について声を上げた人はほとんどいなかった。
岸さんの母親は妊娠3カ月だった1945年8月6日、爆心地から約1・2キロにあった広島市内の自宅で被爆した。翌年3月に生まれた岸さんは先天性の股関節脱臼で、幼いころから足が不自由だった。身長は140センチ足らずで頭も小さく病弱で、学校の授業にもついていけなかったという。
被爆から60年がたった05年、毎日新聞の取材に初めて自身の体験を証言し、06年秋に毎日新聞が始めた記録報道「ヒバクシャ」などを通じて核兵器廃絶への願いを訴えた。取材のたびに「原爆小頭症がどういうものかを知ってほしい。私のような思いをする子どもが二度と生まれないでほしい」と語っていた。
原爆小頭症の被爆者と家族でつくる「きのこ会」に加わり、平和集会などで積極的に証言活動をしてきた。認知症が徐々に進み14年、高齢者施設に入所。遺族によると昨年末、体調を崩して入院し、いったんは退院したが数日前から発熱するなどし、27日未明、容体が急変したという。
「きのこ会」の会長で、原爆小頭症の兄がいる長岡義夫さん(75)=広島市安佐南区=は「被爆の影響で苦しんでいる人たちがいるということを彼女なりに訴えてきたと思う。家族に見守られ、両親の元に旅立つのを見送ることができるのは安心だが、やっぱり生き証人ですから。生きていてもらいたかった」としのんだ。【田中博子】
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