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純度100%の地球外物質にDNA塩基 生命の起源探究は新局面に

毎日新聞 / 2025年1月30日 1時1分

探査機オシリス・レックスが持ち帰った小惑星ベンヌの砂や石=米航空宇宙局(NASA)提供

 米航空宇宙局(NASA)の探査機「オシリス・レックス」が小惑星ベンヌから地球へ持ち帰った砂や石から、DNAとRNAを構成する5種類の核酸塩基がすべて見つかったと、NASAなどが29日、英科学誌ネイチャーの姉妹誌に発表した。

 私たち地球生命の起源を巡る学説はいくつかある。別の天体で化学反応によって作り出された有機物が隕石(いんせき)などに混じって原始の地球に運ばれ、生命の種になったとする「パンスペルミア説」はその一つだ。

 日本の探査機「はやぶさ2」が試料を持ち帰った小惑星リュウグウや、オシリス・レックスが訪れた小惑星ベンヌなどは、そんな隕石の「古里」と考えられる。

 小惑星から持ち帰った砂や石は、地球の有機物の混入がない純度100%の地球外物質だ。そこに、核酸塩基やアミノ酸など生命の材料となりうる有機物が検出された意義は大きい。豊富な有機物の存在は、それを支える巨大な分子群がどうやら地球近傍に広く存在している可能性をうかがわせる。パンスペルミア説を強く後押しする成果だ。

 ただし、こうした有機物がどう生命に結びついたかを解明するには高い壁がある。有機物の解析を担当した海洋研究開発機構の高野淑識(よしのり)・上席研究員は「ガラクタのような物質から、最初の生命へとつながる分子進化の引き金がどこかのタイミングで引かれたはずだ」と語る。

 2024年のノーベル化学賞を受賞した、たんぱく質の構造を高精度で予測する人工知能(AI)技術などを活用し、リュウグウやベンヌの有機物のデータから、「引き金」を探る研究は既に始まっている。これまでもっぱら地上に落ちた隕石頼みだった地球生命の起源に迫る研究は、小惑星リュウグウとベンヌからのサンプルリターン成功によって、新たな局面を迎えている。【垂水友里香】

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