沖縄・旧海軍司令部壕で遺骨収集 厚労省、未公開の坑道で
毎日新聞 / 2025年1月29日 17時27分
第二次世界大戦末期の沖縄戦で旧日本海軍の部隊が米軍の猛攻を受けて壊滅した沖縄県豊見城(とみぐすく)市の「旧海軍司令部壕(ごう)」で厚生労働省による遺骨収集が実施されている。住民を巻き込む激しい地上戦となった1945年の沖縄戦では日米合わせて約20万人が亡くなった。戦後80年となる今も壕やガマ(自然壕)などには多くの遺骨や遺品が残されており、20日に始まった今回の収集作業でも遺骨の一部が発見された。
旧海軍司令部壕は小高い丘の地下に掘られ、全長約450メートルにわたって坑道が張り巡らされた。約4000人の兵士がいたとされるが、45年6月の米軍の攻撃でその多くが戦死。部隊の司令官だった大田実少将(死後に中将)は「沖縄県民斯(か)ク戦ヘリ」と海軍次官宛ての電報を打ち、6月13日に自決した。
壕は司令室や作戦室、暗号室などを含めて全体の3分の2が復元・整備され、70年に一般公開された。一方で、遺骨収集も52~77年の間、断続的に元海軍兵らが中心となって実施され、司令部壕と近くの病院壕で計約1090柱が収容された。県は77年までの作業で、一般公開されていない部分も含め「収集はおおむね完了した」と判断した。
しかし、遺族の要望などを受けて民間団体が2022年から未公開部分を調査したところ、遺骨や遺品が見つかった。坑道の一部は崩落などの危険性が高かったため、県が23年に厚労省に調査を要請した。
厚労省は今回、坑道を塞いでいた岩石を撤去するなどの安全対策を施し、遺骨収集を実施。堆積(たいせき)した土砂を作業員が少しずつ運び出してふるいにかけ、遺骨を探している。作業は2月1日まで続く。
壕事務所の屋良朝治所長は「戦後80年を迎えてもなお、遺骨を探しきれていない壕が沖縄にはたくさんある。風化が進み、立ち入ることが難しい壕も増えているが、残っている遺骨を一日も早く見つける必要がある」と話した。【喜屋武真之介】
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