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下水道破損による道路陥没は年間2600件 老朽化への対策急務

毎日新聞 / 2025年1月29日 17時46分

道路が陥没し、トラックが転落した現場で続けられる救出作業=埼玉県八潮市で28日15時12分、本社ヘリから

 埼玉県八潮市で28日、県道交差点が陥没し、できた穴にトラックが転落した事故が発生した。下水道管の破損による道路の陥没は、各地で相次いでいる。国土交通省によると、2022年度には全国で約2600件発生。近年は減少傾向にあるが、老朽化への対策が課題となっている。

 22年度に起きた陥没は、大半が小規模なものだったが、12%は深さが50~100センチ、2%は100センチを超える穴が開いた。

 けが人も出ている。13年8月に東京都北区の区道が下水道管の破損により陥没し、歩いていた70代男性が転倒して一時意識不明になった。大阪府豊中市では同年9月、下水道の腐食で歩道に穴が開き、母娘が転落して負傷した。

 破損が後を絶たない背景には、設備の老朽化がある。下水道管は古くなると、ひび割れたり、汚泥から発生した硫化水素で腐食したりすることがある。穴が開くと管の中に土砂が流れ込み、地中に空洞ができて陥没の原因となる。

 下水道管は1960年代から各地で整備が拡大し、全国の総延長は約49万キロと、地球約12周分に達する。標準的な耐用年数は敷設から50年で、22年度末時点で全体の7%が超過。更新が必要な設備が多いが、費用などの問題ですぐには進まないのが現状だ。

 国交省は15年に下水道法を改正し、腐食の恐れの大きい下水道管を5年に1回以上、点検するよう市町村などに義務づけている。腐食が進んでいる場合には、下水道管の交換などの対策を求める。

 埼玉県によると、八潮市の現場付近の下水道管は、83年に利用を開始。21年度に確認した際は一部に腐食があったものの、早急な対策は必要ない状況だったという。【原田啓之】

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