公益通報後に自殺した和歌山市職員 公正な裁決求める署名3.6万筆
毎日新聞 / 2025年1月30日 18時59分
公益通報をした和歌山市役所の男性職員(当時28歳)が2020年6月に自殺した問題で、支援団体が30日、地方公務員災害補償基金県支部審査会に公正な審理・裁決を求める署名を提出した。全国からインターネットと書面で3万6655筆が集まった。遺族は公益通報者が守られなかったとして、公務員の労災に当たる「公務災害」の認定を求めている。
男性は18年5月に交付金の不正な事務手続きを命じられ、うつ病を発症し休職。休職中の8月に公益通報制度を使って内部告発し、市は管理職を含む職員15人を懲戒処分とした。男性は10月に職場復帰したが、自殺前の20年4月には通報を受け処分された職員が異動で男性と同じフロアに配置された。
遺族は20年11月に公務災害の認定を請求。同支部が24年1月に「業務で強度の精神的負荷があったとは認められない」などとして退けたが、遺族が5月に不服を申し立てた。また、市は外部の有識者らで構成する公正職務審査会で当時の対応を再検証している。
署名の提出後、報道陣の取材に応じた男性の母親(64)は「同じように不正を告発し、苦しんでいる公務員がいるはず。うやむやにせず、きちんと判断してほしい」と訴えた。市に対し、安全配慮義務違反を問う損害賠償請求を検討していると明らかにした。【安西李姫】
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