森友学園文書不開示決定取り消し判決 大阪高裁「捜査に支障ない」
毎日新聞 / 2025年1月30日 19時1分
学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の公文書改ざん問題を巡り、検察に提出された行政文書の開示を巡る訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は30日、不開示とした国の決定を取り消した。牧賢二裁判長は捜査に影響があるとして文書の存否すら明らかにしなかった国の決定を違法とし、「捜査に支障を及ぼす恐れがあるとは認められない」と述べた。
高裁判決は国側の主張を退けて開示を促したといえ、この判決が確定すれば国は改めて開示・不開示の対応を迫られることになる。
改ざんを苦に自殺した元財務省近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の妻雅子さん(53)が開示を求めていた。2023年9月の1審・大阪地裁判決は「捜査手法や内容が推知され、証拠隠滅が容易になる」などと述べ、不開示決定に問題はないとした。雅子さん側が控訴していた。
高裁判決はまず、情報公開法の趣旨に照らし、文書の存在を明らかにしたうえで開示・不開示を決めるのが原則だとした。存否も答えずに不開示にできる規定の適用は「例外的だ」との考えを示した。
これを踏まえ、雅子さんの開示請求を検討した。文書改ざんを捜査していた検察の捜査は関係者の不起訴処分で終結していたと指摘。国側が主張した「同種事件の捜査への影響」についても、捜査機関が行政内部の命令文書などを収集するのは一般的な手法だと述べた。
そのうえで、改ざん問題の文書が明らかになったとしても、「同種事件に対する捜査方針や意図が分かるとはいえない」と結論付け、雅子さん側の逆転勝訴とした。
この開示請求を巡っては控訴審が進行していた24年3月、総務省の情報公開・個人情報保護審査会が「在否を答えても捜査に支障はない」と不開示決定を取り消すよう答申。しかし、財務省は5月に再び不開示とした経緯がある。
判決を受け、林芳正官房長官は記者会見で「赤木俊夫さんがお亡くなりになったことについてはお悔やみを申し上げたい。国側の主張が認められなかったと承知しており、判決内容を精査したうえで適切に対応する」と述べた。【土田暁彦】
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