「次はうれし涙を」 福岡・玄界高校邦楽部、3年連続の総文祭へ
毎日新聞 / 2025年1月31日 9時30分
福岡県立玄界高校(古賀市)の邦楽部が、「文化部のインターハイ」と呼ばれる全国高校総合文化祭(総文祭)の郷土芸能部門への3年連続出場を決めた。香川県で7月に開かれる本番に向けて、部員らが一丸となって練習に励んでいる。
邦楽部は1995年に創部され、今年で30年を迎える。大小の和太鼓を中心にした編成で、大会や地域のイベントなどに参加してきた。現在の部員は1、2年の32人。昨年11月に開かれた県高校総合文化祭・郷土芸能部門の県大会で最優秀賞を受賞し、3年連続で全国への切符をつかんだ。
邦楽部の総文祭出場は今年で5回目だが、2000年代前半以降は20年近く県代表に選ばれなかった時期があった。その流れを変えたのが、邦楽部出身で大分県竹田市を拠点に活動する和太鼓集団「DRUM TAO」の元メンバー、本田篤芳(あつよし)さん(35)の指導だった。
本田さんは、20年から外部指導者として同部を教え始めた。最初に取り組んだのは、部員らの生活態度や生活の質の向上だった。本田さんは、TAO時代に「生活即舞台」という理念を学んだ。「生活態度が舞台のパフォーマンスにつながる」との意味で、部員らにあいさつの励行や部室の掃除など身のまわりを整え、練習に打ち込める環境づくりを呼びかけた。練習内容も充実を図った。レベルに応じたメニューを増やし、目標を設定するなど、週5日の練習がマンネリ化しないよう工夫を施した。
また、本田さんは部のためにオリジナル曲「三神響祭(さんしんきょうさい)」も作曲。宗像大社(宗像市)の秋季大祭の幕開けとなる「みあれ祭」を題材にしており、年に一度集う宗像三女神を表現したという。顧問の吉武裕二教諭(39)は「四つのパートに分かれていて、ドラマ性がある楽曲」と話す。部員たちは練習や日常を通して心技体を磨き、新たなオリジナル曲を携えて23年に再び全国の舞台に立った。
昨夏の総文祭に出場した部長、隆(たかし)瑠奈さん(17)=2年=は「技術面や体力、演者としての立ち居振る舞いなど、上位入賞校とのレベルの差を感じた」と振り返る。「顧問や外部指導の先生方、保護者の方々の支えがあって(部が)成り立っている。感謝の気持ちを持って稽古(けいこ)に励みたい」と前を見据え、部員全員で基礎練習や生活態度の向上に力を入れていくという。さらに「先輩方の悔しい姿を見てきた。今度は悔し涙ではなくうれし涙を流せたら」と上位入賞への意気込みを語った。【山崎あずさ】
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