子ども食堂、1万カ所超す 徳島が増加率トップ 物価高で運営苦慮も
毎日新聞 / 2025年2月2日 16時0分
子どもたちに無料または低額で食事を提供する「子ども食堂」の数が全国で少なくとも1万カ所を超え、過去最多となった。2024年度の増加率は徳島県が45・95%と全国で最も高かった。一方、子ども食堂はNPO法人などがボランティアで運営し、食材などは寄付でまかなわれているため、昨今の物価高の影響で運営に苦慮している団体も多い。【川原聖史】
師走も押し迫った2024年12月26日。高松市のマンションの一室に子どもたちの笑い声があふれていた。同市のNPO法人「子育てネットひまわり」が月3回開いている「みんなのまめの木食堂」だ。この日は27組の家族連れが食事やスタッフらとの触れ合いを楽しんだ。
「餃子の王将」を全国展開する王将フードサービスから無償提供されたギョーザ弁当50食が用意されたほか、室内のキッチンでスタッフが調理したそぼろご飯が100円~200円で提供された。NPOの活動に賛同した農家や個人から提供された米などもあり、希望する人は無料で持ち帰ることができる。
NPO代表理事の有澤陽子さん(51)は「敷居が高くならないことが大切」と運営で意識している点を語った。食事を終えた子どもと工作をしていたボランティアスタッフの大学4年、平岡凜さん(22)は「食事をするだけの場所ではなく、みんなの居場所になっている」と話す。1歳の娘をあやしていた育休中の会社員、先川竹美さん(34)は「ここでスタッフと話し、育児の悩み相談にも乗ってもらっている」と感謝していた。
認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(東京都)が12月に発表した「24年度こども食堂全国箇所数調査」の速報値によると、全国で前年度比1734カ所増の1万866カ所に達し、公立中学校の数(約9200校)を上回った。
23年度の111カ所から162カ所となり、増加率が全国トップだった徳島県では、以前は子ども食堂の開設には保健所の飲食店営業許可を取得する必要があった。シンクの数や換気設備など飲食店と同様の設備が求められていたが、22年3月から基準が緩和された。「徳島こども食堂ネットワーク」の佐伯雅子理事長は「設備投資の負担が減ったことが増加の一因ではないか」と分析する。
一方、香川県では、19年から県社会福祉協議会が子ども食堂と支援したい個人や企業をつなぐ「香川県子どもの未来応援ネットワーク」活動を始め、開設を後押し。子ども食堂とボランティアのマッチングのほか、企業による寄付や食料提供を調整している。
地域交流や子どもを応援する活動の場として企業が子ども食堂を開いているケースもある。コンビニエンスストア大手のファミリーマート(東京都)は、同年4月から全国の店舗のイートインスペースなどを活用して「ファミマこども食堂」を開催。同社によると、新型コロナウイルス禍で中断はあったが、これまで延べ約7700人が利用した。食事後は、店内でレジ打ちや商品陳列体験など職場体験も実施している。
物価高で、活動に苦慮する団体も
一方、長引く物価高の影響を受けて活動が難しくなっている団体も多い。むすびえが24年7~8月に子ども食堂を運営する約1300の団体を対象に実施したアンケート(複数回答)によると、54・1%が資金不足、52・5%が人材不足を課題に挙げた。こうした状況などを受け、経済同友会はむすびえと連携し、この年末年始に会員企業10社が約8700万円相当の食料やおもちゃなどの物資を支援した。
また、農林水産省は食育推進のため子ども食堂などを多世代交流や共食の場としてとらえ、自治体や運営団体の食育活動に交付金を出すなど支援している。
むすびえは、子ども食堂が「居場所」の一つとして定着しつつあることや、企業による運営が広がっていることなどが増加の要因として考えられると分析。3歳の息子とよく利用しているという広報担当の女性(32)は「他の保護者と一時的で気負わない関係性を作ることができる」と利点を挙げた。湯浅誠理事長(55)は「子ども食堂は平時から社会とつながる場所だ。大災害が起きた時などは、お互いに助け合うこともできる場になっている」と意義を語る。
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