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阪神大震災免れた酒母、熟成酒で新たな価値 28万円で限定100本

毎日新聞 / 2025年2月3日 12時42分

「現外」を手にする生駒龍史代表取締役(左)、右端は熟成させてきた沢の鶴の西向賞雄取締役=神戸市東灘区で、山本真也撮影

 30年前の阪神大震災で大きな被害を受けた酒造会社「沢の鶴」(神戸市灘区)で、被災を免れたタンクに残っていた酒母を長期熟成したビンテージ日本酒がつくられている。高級酒を企画する「Clear」(東京)が事業パートナーとなり、2019年から毎年、数量限定で販売する「現外(げんがい)」(500ミリリットル)。25年は28万6000円で予約販売をしている。【山本真也】

「沢の鶴」×「Clear」予約販売

 沢の鶴は震災で七つの木造蔵が倒壊し、蔵人2人が亡くなった。かろうじて無事だったタンクには、日本酒のもととなる酒母が残っていた。停電で醸造設備は稼働できず、復旧作業の支障になるため、廃棄が検討されたこともあったが、当時の製造担当者らは将来の可能性に賭け、酒を絞って熟成、保存する道を選んだという。

 当初は酸味が非常に強く市場に出せる状態ではなかったが、震災20年の頃からまろやかさが出て、味が劇的に変化。全国各地の酒蔵と高級酒を企画しているClearの生駒龍史代表取締役(38)が18年に試飲した時、芳醇(ほうじゅん)でバランスのよい味にほれ込み、同社が商品化することになった。

 19年に1本15万円で10本を発売したところ、12時間で完売した。その後は毎年数量限定で出しているが、熟成が進み、残量が少なくなり希少価値も増しているとして、価格を上げ続けている。25年は前年より約2万円高い価格で1月17日から予約を開始した。

 沢の鶴の西向賞雄取締役は「熟成で何が起きるかわからなかったが、歴代の担当者がこの酒には何かあると信じて残してきた」と振り返る。生駒代表は「震災を乗り越えた奇跡の一本。熟成酒は海外需要も期待できる分野で、新たなブランド価値をつくっていきたい」と話す。

 限定100本。同社のブランド「SAKE HUNDRED」のサイトで4月7日まで先行予約を受け付けている。

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