お餅、大福が「受験のトイレ対策」になる? 医師に聞くうわさの真相
毎日新聞 / 2025年2月5日 10時0分
餅や大福を食べると、トイレに行かずに済む――。
最近、そんな情報が「ライフハック(生活の知恵)」としてSNS(ネット交流サービス)で話題になっている。長時間のテストや映画、コンサートなどの前に食べておけば、トイレ対策になるというのだ。
2月は受験シーズンまっただ中。試してみようという受験生は多いかもしれない。本当なのだろうか?【中嶋真希】
あくまで「一時的」
「餅や大福を食べることで、一時的に尿の量を減らす可能性はあります」
そう語るのは、神楽坂泌尿器科クリニック(東京都新宿区)の室宮泰人院長(42)だ。
炭水化物や甘い物などの糖質は、摂取すると水分とくっつく。すると、体内に水分がたまり、あくまで一時的だが、尿量が減るのだという。
「食事にも水分は含まれています。餅や大福は、含まれる水分も少ない。糖質が多く、水分量が少ないという点で、トイレ対策に一定の効果があるのでしょう」と分析する。
要注意は糖尿病
一方で、室宮さんは「あまりおすすめはできません」と指摘する。
一つ目の理由は、効果は限定的だということ。「水をよく飲む人など、水分摂取量が多い人には、あまり効果がないかもしれません。飲む量を制限するほうが、効果的でしょう」
二つ目は、将来の健康リスクだ。「トイレが心配だからと餅や大福を毎日食べることになってしまっては、さらに頻尿になってしまうリスクがあります」と警鐘を鳴らす。一体、どういうことなのか。
「血糖値が高い状態を維持していると、利尿作用が高くなります。血糖値がずっと高い状態なのが糖尿病です。本来、インスリンが血糖値を下げますが、インスリンで下がりきらないのが糖尿病です。糖尿病になると体は、おしっこに糖を出すことで体の糖分を外に出し、血糖値を下げようとします。そのため、おしっこが近くなります」
実際、頻尿で悩んで受診し、検査をしたら糖尿病だったというケースは少なくないらしい。「もし糖尿病でトイレが近いのだとしたら、大福を食べたら逆効果です。悩んでいる人は、まずは健康診断を受けてみてください」と、室宮さんは呼びかける。
頻尿の悩みもなく、若くて胃腸も丈夫な受験生ならば、「たまにはやっていい」レベル、と室宮さんは言う。
「『この前、大福を食べたらトイレに行かずに済んだ』という成功体験があるなら、(効き目があると思い込むことで効果が出る)プラセボ効果もありますからね。ただ、習慣にするのは危険ということです」
まずは頻尿の原因解明を
頻尿に悩まされていて、いざという時に不安になってしまい、わらをもつかむ思いで大福を試してみようという人もいるかもしれない。そんな人は、根本的な原因を探ってみた方がいい。
「40代までの人なら、原因は心因性が多い」と室宮さん。
我慢できずに漏らしてしまったといった失敗がきっかけで、「また粗相したらどうしよう」と不安になり、普段ならば尿が出ないのに何度もトイレに行ってしまうのだという。治療には、紙コップで自分の尿量を計測し、「これ以上は出ない」と目視で確認していく行動療法が有効だ。
そして、水分の取りすぎにも注意したい。
「最近は、健康のために1日3、4リットル飲むという人もいますね。あまり飲み過ぎても、体内のミネラルバランスが崩れ、吐き気やむくみなどの原因になります。体重60キロの人なら、食事から摂取する水分も含めて、1日2リットル弱が適量といわれています」
50歳を超えると、男性なら前立腺肥大、女性なら過活動ぼうこうなどの病気にも気を付けたい。こちらは薬での治療が可能だ。
ほかには、テレワークの普及で、「いつでも水が飲めて、いつでもトイレに行ける環境になったことで、我慢する機会が減り、頻尿の人が増えているように感じます」と室宮さん。「ぼうこうは、我慢するほど大きくなって、より多くのおしっこをためられるようになります。トイレの回数は1日8回以内、2、3時間に1回程度が正常です。それより頻繁にトイレに行く人は、少し我慢してみてください」
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