1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

王将戦立会の青野照市九段、強い棋士の共通点は「相手の心を乱す」

毎日新聞 / 2025年2月5日 16時9分

王将戦第3局、解説する立会の青野照市九段=東京都立川市で2025年2月5日

 東京都立川市の「オーベルジュときと」で5日に始まったALSOK杯第74期王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社主催)の第3局で立会を務める青野照市九段は、藤井聡太王将(22)の強さについて、「羽生善治九段にしても、大山康晴十五世名人にしても、今までの王者は自分が強いだけでなく、相手の心を乱す勝ち方が多かった。藤井さんにも同じようなものを感じる」と評した。

 青野九段は、永瀬拓矢九段(32)が猛攻を見せた第1局について、「完全に挑戦者に勝機がある将棋だった。他の相手なら順当に勝っていたと思うが、突然乱れた。(藤井王将に)何度も同じ手を食らっているので、終盤に何かが起きるという意識を常に持っている気がする」と話した。

 第2局は藤井王将が後手番の永瀬九段の誘いに乗って横歩取りの戦いになった。後手の側が主導権を握りやすい戦法だが、藤井王将は5八玉と上がって先手から攻勢に出る「青野流」を採用した。この戦法を考案し、2度目の升田幸三賞(新手や妙手を指した者や、定跡の進歩に貢献した者に与えられる賞)を受賞した青野九段は「私は(青野流で)そんなにうまくいった将棋はあまりないが、人がやると私の戦法は結構いいなと。プロが見てよさそうだからと、はやりだす戦法はいい戦法。自分だけしかやらない戦法は、いくら得意戦法でもダメ」と話し、藤井王将が採用して勝利したことに目を細めていた。

 永瀬九段の先手番で角換わり戦になった第3局は、藤井王将がやや意表を突く感じで右玉に構えた。「相手の狙いに肩透かしを食わせるのは大山十五世名人が得意にしていた。右玉は永瀬九段の出はなをくじいた。今回は違いますよ、と肩透かしを食わせたイメージ」と、藤井王将の勝負術に感心していた。

 一方、2勝3敗で惜しくも不合格に終わった西山朋佳白玲の棋士編入試験について青野九段は、「福間香奈清麗が出てくる前、私が生きている間は女流棋士が四段(男女差のないプロ棋士)になるのを見ることはないだろうと言ったことがあった。特に西山さんが出てきてからは、女性がいつ棋士になってもおかしくなくなった。私の予想は狂ったが、予想が間違いであってほしいと今は思っている」と、女流のトップ棋士の実力を高く評価した。

 ただ、その上で青野九段は「これから新しく棋士を目指す女性が出てくるのは難しい時代だ。(奨励会の下部組織の)研修会を卒業すると、女性は『女流棋士』として登録される。それをやめて、『(厳しい世界の)奨励会に行きます』という女性は相当いないと思う。加えて、女流棋界の充実もある。対局も多くなり、解説(聞き手)の仕事もあるということで、女流プロとしてやっていける環境が整った。それを全部捨てて奨励会に行くのは大変」と話した。【新土居仁昌】

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください