佐賀の会社員殺人事件21年 最新技術で物証洗い直し 父「悔しい」
毎日新聞 / 2025年2月6日 14時30分
佐賀県鳥栖市飯田町の市道で2004年、軽乗用車内から福岡県大刀洗町の会社員、入口和俊さん(当時24歳)の遺体が見つかった殺人事件は、9日で発生から21年が経過する。未解決のまま捜査が難航する中、県警は近年、最新の捜査技術を活用して物証の洗い直しを進めてきた。情報提供を募るとともに解決への糸口を探っている。【五十嵐隆浩】
1月9日午後。九州自動車道に沿った市道脇の事件現場には情報提供を求める看板の横に花と缶コーヒーが添えられていた。九州自動車道はひっきりなしに車を行き交うが、市道は時折、トラックが通る程度だ。現場周辺は畑が広がり、夜間は一層人目に付きづらくなる環境だ。
04年2月9日午前10時ごろ、入口さんは所有する軽乗用車内で他殺体で見つかった。財布がなかった。8日深夜から9日未明に助手席で休んでいる時、頭を鈍器で殴られ殺害されたとみられている。
県警はこれまでに延べ約11万人の捜査員を投入。現在も鳥栖署と県警捜査1課の捜査員20人態勢で捜査しているが、容疑者を特定できていない。
捜査が難航してきた理由の一つは「筋読みが難しい」(捜査幹部)点だ。捜査関係者によると、入口さんは事件前にも現場周辺で夜間に車で休憩したことがあったとみられる。ある捜査関係者は「容疑者はそうした事情を知っていた可能性もあれば、知らなかった可能性もある。盗み目的の流しの犯行か、怨恨(えんこん)か。なかなか絞り切れない」と話す。
一方、この20年ほどで捜査技術は進歩している。捜査関係者によると、県警は23年から未解決事件でDNA鑑定や人由来の物質に反応する光源装置など最新技術を活用した物証の洗い直しに力を入れてきた。捜査幹部は「捜査は着実に進んでいる。事件当時は言えなくても今なら言える話があるかもしれない。情報提供を募りながら何とか解決したい」と力を込める。
1月下旬。自宅で取材に応じた入口さんの父俊さん(87)は「20年経過した。もう諦めてますよ」と徒労感をにじませた。それでも月命日には妻秀子さんと現場を訪れ、花を手向けるという。
俊さんは「犯人が白々として生きていると思うと、とても耐えきれないような思いをする時もあります」と声を絞り出し、和俊さんを思いやった。「悔しいですよ。可哀そうにね。人生を20年ぐらいで終わってしまって。本当に残念なことでした」。
情報提供は鳥栖署の捜査本部(0942・83・2131)まで。
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