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「ガチャ」も考案 「マタギ」の里、観光創出への熱い思い 秋田

毎日新聞 / 2025年2月7日 9時15分

阿仁学園生徒たちから秋田内陸縦貫鉄道の吉田裕幸社長(左)に贈呈された「阿仁ガチャ」=北秋田市で2025年2月4日、田村彦志撮影

 山の中で狩猟をなりわいとする「マタギ」の里として知られる北秋田市阿仁地区。そのマタギをテーマに、同市立義務教育学校阿仁学園と北秋田市など4市町村でつくる一般社団法人、秋田犬ツーリズムが連携し、観光コンテンツの創出に取り組んでいる。秋田への移住や旅行を促す「きっかけ」を探る試みだ。

 4日には、阿仁学園を会場に生徒たちが自ら調べたマタギの仕事や暮らしについて報告会を開き、在校生や関係者らを前に、熱い思いを口にした。カプセルトイの自動販売機に地元の食材を使った食事券などユニークな商品を入れた「阿仁ガチャ」も考案・商品化され、秋田内陸縦貫鉄道に贈呈された。

 阿仁地区は秋田県北部に位置し、マタギの発祥の地として古い歴史を持つ。「旅マタギ」として知られた阿仁マタギは、東日本各地で活動し、マタギ文化を広めた例も少なくない。使用された槍(やり)やわな、衣装などは「阿仁マタギの狩猟用具」として国重要有形民俗文化財に指定されている。

 観光コンテンツ創出事業は、阿仁学園の「総合的な学習の時間」を生かし、2024年10月にスタート。過去5回の授業の中で、生徒が地域を訪ね歩き、マタギの生活について学び、コンテンツ創出と阿仁ガチャの商品化を進めてきた。

 最終回となる4日の報告会は成果を踏まえ、中学1~3年生にあたる7~9年生30人が5グループに分かれ、マタギの歴史や生活、しきたり、狩りを支えた食べ物などを紹介した。

 マタギとクマが身近にある中で育ったという8年生の高堰佳祐さん、伊藤啓汰さん、佐藤嵩悟さんと7年生の織田明里さんの4人は「クマは授かりもの」とのテーマで報告した。

 「授かったクマは解体し、骨、肉、内臓は平等に分け合うのがマタギ勘定。内臓は薬となり、皮は防寒具や敷物となる」と述べ、「今の人たちは壊れたものは捨ててしまうが、マタギは授かったものを無駄にせず、生活してきた。その生き方を今の人たちも受け継いでほしい。マタギの生活に触れれば、大切な何かを見つけられるはずだ」と話した。

 「時代に合わせて進化するマタギ」と題した別のグループは「近年、クマの個体数が増え過ぎて、人身被害が増加している」と懸念しつつ、「かといって、たくさん授かってしまうと、生態系の維持ができなくなる。バランスをとり、クマと共存していくことがマタギ文化を大切にする」と強調。「人が移動しにくい場所や、クマが生息する危険な場所に簡単に移動できるドローンを活用した狩猟」を提案。最後に「マタギのお祭りやイベントがある阿仁へ一度足を運んでみませんか」と呼びかけ、締めくくった。

 報告会には、地域の仕事や暮らしを体験するツアーを運営し、生徒たちに活動方法を指導した有限会社「くま」(本社・岡山県倉敷市)の辻信行代表と、吉備国際大学(本部・岡山県高梁市)の学生たちがオンラインで参加。学生たちは「マタギという言葉は知っていたが、その地域の暮らしを知るのは初めて」と興味津々の様子だった。

 この日は、阿仁地区のレストランなどで提供される独自メニューや、地域の山の幸が入ったラーメン、漬物などの引換券が商品となっている阿仁ガチャがお披露目された。地域事業者とタイアップし、商品化されたガチャは、秋田内陸線鷹巣駅と阿仁合駅に設置される。

 秋田犬ツーリズムの嶋田恭輔事務局長補佐は「生徒たちがマタギの里を盛り上げていきたいという強い気持ちを感じさせる内容で、有意義だった。次世代を担う生徒たちの思いが、やがて地域全体で実を結ぶことができれば」と語った。【田村彦志】

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