事故後に口臭防止用品購入 最高裁ひき逃げ認定に遺族「極めて妥当」
毎日新聞 / 2025年2月7日 17時17分
長野県佐久市の市道で2015年、中学3年の和田樹生(みきお)さん(当時15歳)が死亡した交通事故で、最高裁が7日、道路交通法違反(ひき逃げ)で運転手の被告に逆転有罪判決を言い渡した。事故から3609日。被害者の両親は「本来救えるはずの命が失われることがあってはならない。卑劣な行為に対して極めて妥当な司法判断が下されたと思う」とかみしめた。
15年3月23日午後10時ごろ、帰宅途中の和田さんは自宅近くの横断歩道で、池田忠正被告(52)が運転する乗用車にはねられた。3日前、地域でも有数の難関高校への合格が決まったばかり。「頑張り屋さんでした」と父善光さん(54)、母真理さん(53)は口をそろえる。
衝突音は室内にいた両親にも聞こえ、善光さんはすぐに外へ。44メートル先まではね飛ばされた息子を見つけ、「お願いだから死なないでくれ」と叫んだ。しかし、意識は戻らなかった。
被告は15年9月、自動車運転処罰法違反(過失致死)で有罪判決を受けた。公判に至る過程で、飲酒の発覚を避けるため、事故を起こした被告が近くのコンビニに向かい、口臭防止用品を買っていたことが明らかになった。
両親は被告の「自己保身」を見逃すことができなかった。目撃情報を集め、防犯カメラの映像も解析し、検察審査会に掛け合った。その思いは、検察をも動かす。
被告は道交法違反(速度超過)で起訴され、ひき逃げでも刑事責任を問われた。速度超過は公判が打ち切られたものの、ひき逃げは22年1月に在宅起訴が実現した。公訴時効まで2カ月を切っていた。
2審・東京高裁が「(被告は)救護する意思を失ったとは認められない」として無罪判決を言い渡した際は、「あまりに命を軽視した判決で、目の前が真っ暗になった」(真理さん)。ただ、両親は「被告は処罰されるべきだ。ただちに救護されれば救われる命はある」と信じ続けた。
「(無罪判決を)破棄しなければ著しく正義に反する」。逆転有罪を導いた7日の最高裁判決に、善光さんは「この判決が周知され、もし車で人をはねたら、ただちに被害者を救護しなければならないということが徹底され、一つでも多くの命が救われる社会になってほしい」と語った。【巽賢司】
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