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なぜギョーザ支出額が注目? 自治体の首位争いが激化したきっかけ

毎日新聞 / 2025年2月7日 20時0分

ギョーザの購入頻度で5年連続トップの快挙を喜ぶ宮崎市の関係者=宮崎市の宮崎空港ビル出発ロビーで2025年2月7日午前9時39分、塩月由香撮影

 7日に発表された総務省の家計調査によると、2024年の1世帯当たりのギョーザへの年間支出額は浜松市が4066円となり、2年連続で全国トップになった。一方で、宮崎市は支出額では昨年に続き2位だったものの、購入頻度で5年連続首位となったことをアピールした。こうしたことがメディアでも取り上げられているが、家計調査の対象は膨大にあるなか、そもそもなぜギョーザが注目されるのか。

 ギョーザの支出額の出典となっている総務省の家計調査は、国の施策の基礎資料とするため統計法に基づき毎月実施されており、500あまりの品目の支出額や購入数量を調べている。

 品目は多岐にわたり、食べ物だけでなく家賃、光熱費、家具、洋服や和服、医薬品、交通費、ガソリン代など衣食住にまつわるあらゆる項目がそろっている。

 このうち食べ物では、米やパスタなどの主食に始まり、マグロやタイなどの鮮魚、牛肉、ベーコンなどの肉類、ヨーグルトやチーズなどの乳製品、白菜やブロッコリーなどの野菜もある。また、食材にとどまらず、カステラやせんべい、チョコレートなどの菓子や、ウナギのかば焼き、シューマイ、コロッケなどの調理品、コーヒーや乳酸菌飲料などの飲み物も含まれる。

 このうち「ギョーザ」や「ラーメン」など特定の品目に着目し、それぞれ上位の自治体が近年“熱い”首位争いを繰り広げ、注目を集めている。

 ギョーザを巡っては、いずれも「ギョーザの街」と呼ばれる宇都宮市と浜松市の2トップが長年、首位争いを繰り広げてきた。

 全国のギョーザ事情に詳しい一般社団法人「焼き餃子協会」(東京)の小野寺力代表理事によると、もともと1位の常連だった宇都宮市がまちおこしに使い始め、1990年代には「餃子像」がJR宇都宮駅前に設置されるなど盛り上がった。その後、07年に浜松市が政令市に加わったことで、08年以降1位を巡る争いが激化して、メディアに取り上げられることが増えたという。小野寺代表理事は「1、2位が僅差で競争して、盛り上がったのではないか」と話す。

 この「2強」に割って入ったのが宮崎市だ。21年に初めてトップに躍り出ると、22年も首位を維持した。23、24年は2位と苦杯をなめたものの、「三すくみ」の争いを演出している。

 宮崎市の奮闘のきっかけは新型コロナウイルス禍。飲食業界が苦境に陥る中、20年上半期の市のギョーザの支出額が1位になった。これに着目した市内のギョーザ専門店などがその年の9月に「宮崎市ぎょうざ協議会」を設立。ギョーザで宮崎を盛り上げようという機運が高まり、市内で販促活動が繰り広げられた。関係者は「ギョーザが一つの光となった」と振り返る。宮崎県はキャベツや豚などギョーザに欠かせない農畜産物の生産が全国トップクラスでギョーザ専門店も多かった。

 こうした経緯もあり宮崎市では毎年、家計調査の発表日に合わせて市長ら関係者を招いた順位発表セレモニーが開かれ、くす玉を割るなどして盛り上げるなど、家計調査を地域活性化に生かしている。

 ただ、総務省の家計調査で分かるギョーザの支出額はスーパーや専門店で購入した持ち帰りの生ギョーザや焼きギョーザ。冷凍や外食、飲食店のテークアウトは含まれていない上、観光客による購入も反映されない。このため家計調査の数字だけでギョーザ文化の全容を把握できるわけではないことには注意が必要だ。【田崎春菜、平川昌範】

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