岸田前首相襲撃、19日に判決 懲役15年求刑「悪質なテロ行為」
毎日新聞 / 2025年2月10日 18時53分
和歌山市で2年前、岸田文雄前首相らにパイプ爆弾を投げつけたとして、殺人未遂など五つの罪に問われた木村隆二被告(25)の裁判員裁判の論告求刑公判が10日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)であり、検察側は懲役15年を求刑した。「選挙運動中の総理を狙い、多数を無差別に巻き込んだ悪質なテロ行為だ」と強調した。
これに対し、弁護側は殺意はなかったとして殺人未遂罪と爆発物取締罰則違反は成立しないと主張。傷害罪にとどまり、懲役3年が妥当だと訴えた。公判は結審し、19日に判決が言い渡される予定。
起訴状によると、被告は2023年4月15日、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、衆院和歌山1区補選の応援演説に訪れた岸田氏らに向け、鋼管に火薬を詰めた爆弾を投げつけて聴衆の男性ら2人に軽傷を負わせ、演説会を妨害したとされる。岸田氏は逃げて無事だった。
検察側は、爆発で飛散した鋼管やふたが厚さ9ミリのベニヤ板を貫通し、ふたの一部は拳銃の銃弾と同等の速度だったとする専門家の実験結果を踏まえ、「人に当たれば死ぬ可能性が十分に認められる」と主張した。被告も予行演習で威力を認識していたとし、大勢がいる中で投げ込んだことから殺意や加害目的があったと強調した。
被告は選挙制度に不満を持って民事裁判を起こしており、「首相の近くで大きな音を出せば注目が集まると思った」と説明。検察側はこの動機は身勝手だとしたうえで、「演説会の中止だけではなく、その後の選挙運動にも影響を与えており、民主主義の根幹を揺るがす犯行だ」と指摘した。
これに対し、弁護側は実験で鋼管やふたが2~3メートル先のベニヤ板を貫通したとし、殺傷能力はこの範囲にとどまるとした。投げ込んでから約1分後に爆発するよう細工し、「(岸田氏らが)逃げるのは可能だと考えていた」と述べた。
目的については「大きな音を出して騒乱状態にし、注目を集めるためだった」と改めて主張。けが人が出たのは想定外だったとして、殺意を否定したうえで人に危害を加える目的ではなかったと訴えた。
一方、被告は演説会を中断させたとする公職選挙法違反にも問われている。この日あった追加の被告人質問で「選挙に関する遊説だと思っていた」と従来の主張を一転させ、起訴内容を認めた。最終意見陳述では「多くの皆さんにご迷惑をおかけし、大変申し訳なく思っています」と述べた。【藤木俊治、安西李姫、駒木智一】
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