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神戸-姫路の自動車専用道路 立ち退きなど懸念で住民が反対署名

毎日新聞 / 2025年2月12日 16時32分

播磨臨海地域道路計画で立ち退き対象となる可能性がある兵庫県高砂市西畑地区の住宅地の一角=2025年2月6日、村元展也撮影(画像の一部を加工しています)

 神戸市から兵庫県姫路市の沿岸部を結ぶ自動車専用道路「播磨臨海地域道路」の建設計画を巡り、住宅の立ち退きや環境悪化を懸念する高砂、加古川、姫路3市の沿線住民がそれぞれの地域で住民グループを作り、計画撤回を求める署名活動を始めている。4月にも共同で斎藤元彦知事に署名を提出する構えだ。

 播磨臨海地域道路を巡っては、沿岸の工業地帯の物流強化や周辺の渋滞解消などを目的に長年、沿線自治体や経済団体が国に要望してきた経緯がある。国は2022年11月、全長50キロのうち、第二神明道路に接続する仮称「明石西ジャンクション(JCT)」(神戸市西区)から姫路市広畑区までの約32キロについて県などにルート案を提示。これを受け県と沿線自治体が具体的な計画を作成した。23年以降、沿線で計62回の住民説明会が開かれた。

 「50年前についのすみかとして建てた家が立ち退き対象になるとは」。高砂市西畑地区に住む嶋谷数博さん(83)は戸惑いと憤りを隠さない。山陽電鉄高砂駅南西約1キロの同地区は一戸建てが整然と並ぶ住宅街。その中を高架道路が貫く計画で、住民らによると、50軒以上が立ち退き対象となる可能性がある。

 同市都市政策課は「現時点では対象は未定。立ち退きの際には金銭補償をする」としている。嶋谷さんは元高校教諭で、2人の子供は独立し、夫婦2人暮らし。「ここで静かに余生を送りたいだけ。この年になって別の場所で暮らすのは無理だ」と訴える。

 同地区の住民が中心になり24年9月、「播磨臨海地域道路に反対し住民自治を守る高砂の会」が発足。25年1月には撤回を求める署名1598筆(うちネット署名539筆)を都倉達殊・高砂市長に提出した。これとは別に斎藤知事宛ての署名も2000筆以上(ネット署名含む)が集まっているという。

 都倉市長は1月28日、同会メンバーと面会。「地域発展のためにぜひとも必要な道路で、住宅の立ち退きが最小限になるルートを選んだ。今後も丁寧に説明していきたい」と理解を求めた。

 メンバーの百々雅夫さん(73)は「人口減少が進む中、住民を犠牲にし、多額の税金を使ってまで造るべき道路なのか。工法やルート選定に関する住民の疑問にも正面から応えていない」と不信感を募らせる。

 姫路市の的形地区では自然豊かな里山が切り崩されるとして住民グループが呼びかけた署名が既に約1500筆に上る。加古川市でもルート案沿いの同市別府町西脇地区の住民らを中心に1000筆以上の署名が集まっている。【村元展也】

播磨臨海地域道路

 国内有数の工業地帯・播磨臨海部の活性化を目指し1998年、沿線自治体が協議会を結成して国に要望を始めた。現在の構成は神戸・明石・高砂・加古川・姫路5市、稲美・播磨・太子3町。国は2016年、延長約50キロのうち現在の計画路線(32キロ)を設定。費用は「5900億円」(19年の資料)とされるが、事業主体や総事業費は未定。県は渋滞緩和効果の高い一部区間を38年までに、全線を50年までに整備することを目指す。

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