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地下鉄サリン事件 被害者カルテを電子保存へ 医師の口述記録も作成

毎日新聞 / 2025年2月13日 5時0分

地下鉄サリン事件では、被害に遭った多数の人のカルテなどが作成された=東京都中央区築地で1995年3月20日、本社ヘリから山下浩一撮影

 1995年3月に東京都心で起きたオウム真理教による地下鉄サリン事件の被害者のカルテなどについて、政府は電子化して保存する方針を決めた。資料の散逸を防ぎ、未曽有の化学テロへの対応の教訓を後世に残すのが目的。当時治療に当たった医療関係者から聞き取るオーラルヒストリー(口述記録)も作成する。

 政府関係者によると、電子化して保存されるのは、被害者のカルテや救急搬送対応などの医療記録。現在紙の形で残っているものは、そのまま電子化する。

 多くの医療機関で廃棄されたとみられるが、少なくとも1000人分程度は残っているという。後遺症で治療中の被害者の診察記録も保存するか検討する。

 また、事件直後に被害者の搬送や治療に当たった医師や看護師、消防職員らから当時の対応を聞き取り、アーカイブ化を進める。

 2024年12月に成立した24年度補正予算に関連事業費約400万円が盛り込まれた。厚生労働省が22年以降、800万円程度を予算要求してきたが、実際に計上されたのは初めて。厚労省は、被害者の個人情報に配慮しながら電子化した記録の活用策を検討する。

 地下鉄サリン事件の診療記録を巡っては、19年7月に超党派の国会議員でつくる「オウム真理教対策議員連盟」がデータベース化して適正に保存するよう政府に要請。厚労省は20年2月、大学教授や、事件当時に被害者を治療した医師らによる研究班を設置した。

 研究班は被害者の治療に当たったとみられる39の医療機関にアンケートを実施。回答した14機関のうち、カルテなどを保存していたのは6機関にとどまった。医師法などで定められたカルテの保存期間が5年間のため、各機関の判断で廃棄されたケースがあった。

 研究班は22年に報告書をまとめ、「化学テロに対する危機管理能力向上のための貴重な財産」などとして、診療記録のデジタル化やオーラルヒストリーの作成を提言していた。

 研究班代表で医師の奥村徹・日本中毒情報センター理事(62)は「地下鉄サリン事件の被害者の治療では、さまざまな薬が使われたが、それによって後遺症が軽減されたのか、あるいは変わらなかったのかは分かっていない。関わった医療関係者も高齢化している。後世の人たちが分析できるような形で記録を残すことは次世代への責務だ」と指摘した。【木下翔太郎】

地下鉄サリン事件

 1995年3月20日朝、オウム真理教の信者が東京・霞ケ関駅に向かう営団地下鉄(現東京メトロ)の3路線5車両内で新聞紙で包んだビニール袋を傘で突き刺し、猛毒の神経ガス・サリンを散布した無差別テロ事件。乗客と駅員計14人が死亡し、負傷者は6000人以上に上った。オウム真理教による一連の事件では、教団元代表の松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚ら13人の死刑が確定し、2018年7月に執行された。

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