「うどんのうーやん」岡田よしたかさん 関西弁は「好きに読んで~」
毎日新聞 / 2025年2月13日 11時30分
うどんが走ったり、昆布が漫才をしたり、コロッケやエビフライたちが野球をする――そんな愉快な絵本を手がける、大阪府出身で奈良県在住の絵本作家・岡田よしたかさん(69)。小学校やイベントなどで自ら読み聞かせをしており、どの作品も関西弁なのは「自分が読みやすいから。みなさんは抑揚とか文字通りに読まなあかんとか、そんなん気にせず、好きに読んで~」とほほ笑む。【前本麻有】
うどんが自ら走って出前に向かい、次々と仲間を丼に招き入れてしまう「うどんのうーやん」(ブロンズ新社)は、2012年の初版から24年10月まで42刷もの増刷に及ぶ人気作品だ。
岡田さんの作品は食べ物が擬人化しながらも、目や鼻、口などは描かれていない。それでも、動きや角度の巧みな描写で喜怒哀楽がしっかり伝わってくる。「目や口を描いたら可愛いねんけど、描いてて自分が面白いとは思えへんかった」と振り返る。
食べ物をモチーフとした作品が多いが、24年の「フルーツパフェをちゅうもんしました」(PHP研究所)は、次々と用事を思い出すユニークな男性が主人公だ。「こんなふうに生きてたら楽しいやろうなと思って。楽しくて笑える『ドタバタもの』が好きなんです」と明かす。
45歳だった01年に「おーいペンギンさーん」(福音館書店)で単行本デビュー。自身の歩みも、絵本作家へ一直線ではなかった。
東大阪市出身。高校では美術部に入りたかったが、上級生からの勧誘を断れず登山部へ。神戸の六甲山や奈良の奥香落渓などを登った。卒業後、やっぱり絵が描きたくなり2浪して芸大へ。芸大卒業後は百貨店であられを売ったり、地球儀を組み立てる仕事をしたりとフリーター生活が続いた。
そんなある日、大阪市の認可外保育所のチラシを目にした。求人募集ではなかったが「これまでの仕事で求められた売り上げや効率とは違う、『生活そのもの』に向き合うことに魅力を感じた」。問い合わせると、採用された。
子どもたちに絵本を読み聞かせるうちに、それまで関心のなかった絵本に興味を抱いた。保育所で働きながら絵を描き続け、絵本作家たちが参加しているグループ展に出品したことがきっかけで出版社から声がかかった。
約10年にわたって勤務した保育所は閉所となり、その後に勤務した遊園地・奈良ドリームランドも06年に閉園となったが、そのころから絵本作家としてやっていけるように。
作家となった今も、子どもたちに読み聞かせをしている。「言葉を補いながら、視覚支援学校や少年院でもやったことがあります」といい、自分が読むことが前提のため「関西弁で作っています。自分用のシナリオ、台本みたいなもんです。だから、読者のみなさんも声に出して、好きなように読んでください」と柔和な笑顔を見せる。
絵は気になる箇所があれば、妥協せず全て描き直す。それでも、読み聞かせで自作を手にすると「ここの色や線、ちょっと雑やったな」と顧みることも。現在は、七福神をテーマにした作品を制作中で「あとから見ても自分が納得できるよう、丁寧に取り組んでいきたい」と熱意を込めている。
◇
奈良県立図書情報館(奈良市大安寺西1)で27日まで「岡田よしたか展」が開催中、これまでの絵本や未発表作を含む29作品の原画を展示している。入場無料、17日と25日休館。
おかだ・よしたか
1956年生まれ、愛知県立芸術大学油画専攻卒。1998年、子ども向け月刊誌「おおきなポケット」(福音館書店)で「あやまりたおす人々」が掲載され、2001年に「おーいペンギンさーん」(同)で単行本デビュー。現在は奈良県大和郡山市在住。
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