1株あたりの純利益ってなに?計算方法も解説
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2019年5月17日 10時0分
1株あたりの純利益ってなに?計算方法も解説
株式を始めるとさまざまな株式指標を目にすることになります。せっかく投資をスタートしたのなら企業を評価するために指標にも詳しくなりましょう。今回は一株あたりの純利益について紹介します。
・1株あたりの純利益とは
・計算方法
・株を購入するときの活用方法
1株あたりの純利益とは
1株あたりの純利益とは、1株あたりどれだけの最終的な純利益が出ているかを示す指標です。英語ではEPS(Earnings Per Share)と呼ばれています。この1株あたりの純利益を見ることで、企業がどれだけ収益力を持っているかを知ることが可能です。
1株あたりの純利益が高い企業は、投資家から集めたお金を効率よく使って収益に結びつけていると判断することができます。逆に1株あたりの純利益が低い場合は、収益に結びついてないと判断されることが多いでしょう。この1株あたりの純利益はM&Aで株式交換比率を決めるときにも使われる指標です。また企業の経営目標として1株あたりの利益の数値を設定することもあります。
株式を買うとき、多くの人がその企業が利益を出しているかを確認します。しかし、当期純利益総額だけでは不十分です。当期純利益が多くても、発行済株式数が多ければ1株あたりの株式に対する利益は大きくありません。
例えば同じ当期純利益を出している会社があったとしても、片方の発行済株式数が1,000万株、もう片方が100万株という場合、株主として1株の価値が高いのは発行済株式数が少ない方です。1株が持っている価値を判断するために1株あたりの純利益という指標を欠かすことはできません。
計算方法
1株あたりの純利益は当期純利益を発行済株式数で割って求めます。ただしこの発行済株式数は自己株式を除いたものです。またその期間中に発行済株式数が変わってしまう場合は、期中平均株式数を使います。1株あたりの純利益は当期純利益と発行済株式数の関係で決まるため、この2つのどちらか、もしくは両方が変われば1株あたりの純利益も変化します。
1株あたりの純利益が増加するのは、発行済株式数が減少したときと純利益が増加したとき。例えば、自社株買いや株式併合があれば発行済株式数が減るため1株あたりの純利益は当然大きくなります。逆に株式分割や新規上場、転換社債の発行のほかストックオプションの支給があると発行済株式数が増えて1株あたりの純利益は小さくなってしまいます。
純利益が増えるのは、企業の営業成績が上昇したり、経営が上手くいったりしたときです。また、初期におこなった投資が回収できることで債務の返済の負担が減ります。その結果、純利益が増えて1株あたりの純利益が上昇することになるでしょう。
企業は企業として本業の運営をすると同時に、資金調達や返済などの財務活動をおこなっています。企業に投資している投資家への影響も無視することはできません。財務活動をおこなうときにも1株あたりの純利益のような株式指標への影響を考慮しているのです。
株を購入するときの活用方法
1株あたりの純利益は、財務分析の指標としてよく利用されています。例えば同じ企業の当期と前期の1株あたりの純利益を比べることで企業の収益力がどれだけ成長しているか判断することができるでしょう。また配当に対してどれだけの収益性があるかなどを分析するのにも役立ちます。
企業は成長するために期間ごとに増資をおこないます。新規事業や事業拡大のためには資金が必要になるためです。しかし、財務への影響を無視して増資してしまえば1株あたりの収益は減少して、株式の価値も下がってしまうでしょう。株式の価値が希薄化することで離れてしまう株主もいるかもしれません。
しかし、一度下がってしまった1株あたりの純利益が上昇に転じた場合は、その増資の効果が出たと判断することができます。1株あたりの純利益が下がった後に上がるような効率がよい増資をおこなう企業は投資対象としてもすぐれていると判断できます。
単純に純利益だけで銘柄を比較すると、どうしても規模が大きな企業の数字が目立ってしまいますが、1株あたりの純利益を使うことによって、企業規模の影響を除外した企業の収益性を分析できるわけです。
株式を売買していて判断が難しい売り時、買い時も1株あたり純利益が手掛かりになります。よく使われるのがPERという指標。PERとはPrice Earnings Ratioの略で、株価を1株あたりの純利益で割って求めます。
このPERによって、株価が1株あたり純利益の何倍になっているかがわかります。つまり株価が出している利益に対してどれだけの値段で取引されているかを判断することができるのです。PERは低いほど割安と判断されます。同業種、同規模の企業が8~10倍で買われている場合、その企業も同程度のPERまでは上昇する余地があると判断できるのです。
株価の指標は一つだけで見るより、他の指標と併せて利用したり、他の企業と比較したりすることでその真価を発揮します。株式に関する指標を使いこなすことで冷静に投資判断をすることができるでしょう。
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