ポンドについて詳しく解説。イギリス通貨単位の知られざる歴史と位置づけ
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2020年11月4日 10時0分
ポンドについて詳しく解説。イギリス通貨単位の知られざる歴史と位置づけ
ポンドはイギリスの通貨で、かつては世界の基軸通貨として位置づけられていました。イギリスは今EU離脱の渦中にあり、それに伴いポンドは近年最も注目されている通貨です。そんなイギリス通貨ポンドのこれまでの歴史と、この先のポンドの値動きについて解説します。
イギリスの通貨「ポンド」とは
イギリスの通貨であるポンドは、ドル、ユーロ、円についで世界で4位の取引量をほこるポピュラーな通貨です。
2020年9月11日現在、1ポンドは135円~136円くらいになりますが、値動きの幅が大きく流通量もそこそこという点から、外国為替証拠金取引(FX)では、リスクをとって大きなリターンを狙える通貨として人気があります。
ポンドはとても不思議な位置づけにある通貨ということをご存じでしょうか?ポンドはイギリスの通貨です。2020年1月にイギリスはEUを離脱しましたが、それまではEU加盟国でした。
EU加盟国の多くが通貨としてユーロを採用しているなか、どうしてイギリスの通貨はユーロではなくポンドのままなのでしょうか?
イギリス ポンドの歴史トリビア
ポンドの歴史は古く、初めて作られたのは8世紀にさかのぼります。ポンドはもともと重さの単位で、かつては、1ポンドの重さの銀を1つの通貨の単位として使用していました。1ポンドの重さを測るときに天秤が使われていたので、ポンドを意味する記号は天秤を表すラテン語「リブラ」の頭文字「L」が使われます。
イギリスは産業革命をなしとげ、世界一の先進国になります。造船業の発展を背景に、世界中に移動することが容易になり、イギリス本土から遠く離れた植民地にもその優れた技術を広めました。技術の移転に伴い、ポンドも世界中で使用されるようになり、その流通量は世界一をほこっていました。
EU加盟後もなぜポンドは残った?
EUはEuropeanUinionの略で、加盟国それぞれは独立して存在しながらも、各国の協力で、アメリカやロシアのような大国に対抗できるような経済圏を作ることを目的として設立されました。その目的のため、加盟国間の往来にパスポートは不要とし、加盟国間の関税も撤廃、さらに通貨の統合を目指しています。
イギリスはEUに加盟しながらも、通貨のユーロは採用せず、ポンドを維持することを選択しました。ユーロ圏の金融政策は欧州中央銀行(ECB)が担っているため、ユーロを採用すると独自の金融政策がとれなくなるからです。世界の金融センターであるシティを抱えるイギリスは、自国の金融政策決定権を失いたくなかったため、ユーロ導入を見送ったと考えられています。
EU離脱でどうなる?イギリス ポンド
メイ前首相、現首相のジョンソン氏の功績もあり、2020年1月末にEU離脱案がイギリス議会で承認され、正式にEU離脱が決定しました。2月1日からは急な離脱による弊害を避けるために設けられた「移行期間」に入っています。これまでのEU加盟国同士の関税や、人の移動の自由はまだ残っていますが、イギリスはもはやEUの政策決定には関与できません。
移行期間が終了する2020年12月31日までに、イギリスとEUで決着しなければならない課題は多岐にわたります。今後、円満に離脱できるかどうかがイギリスポンドの今後を左右するといっても過言ではありません。
関税の仕組を理解しましょう
最大の争点となるのがFTAです。FTAとは、貿易や投資を拡大するために、物品にかかる関税や非関税障壁を削減・撤廃することを約束する二国間または多国間協定のことをいいます。
日本とアメリカの事例を挙げると、例えばアメリカから牛肉を輸入したら、日本の輸入業者が関税を支払う必要があります。
アメリカ産の牛肉は日本の牛肉よりも安く、そのまま輸入できれば日本の消費者にとってはありがたいかもしれません。しかし、安いアメリカ産の牛肉が日本に入ってくることで、日本の牛肉が売れなくなり、日本の食肉業者が困ってしまうかもしれません。そこで、輸入品に関税をかけることで、国内の企業が海外からの輸入品によって過度に不利益が生じることがないよう保護しているのです。
しかし、行き過ぎた保護貿易は互いのメリットにならないので、国同士で自由に貿易できる品目などを定め、各当事者の利益を調整した取り決めがFTAです。
今までイギリスはEU加盟国として、EU各国と関税なしで取引ができていたわけですが、今後EUとイギリスの関係がどうなるのかが争点になります。また、EUとFTAを結んでいる国が、EUを離脱したイギリスと同じようなFTAを個別に結んでくれるかどうかも争点です。
これらの取り決めがされないまま、移行期間終了を迎えてしまうことを「合意なき離脱」といいます。仮にこのような事態になれば、市場には失望感が広がり、ポンドは大幅下落(円高ポンド安)するでしょう。
ポンドの行く末は、EU離脱の結果「合意なき離脱」となるか、関税をはじめ離脱に伴うさまざまな取り決めが期限までになされるかどうかにかかっています。
ポンドを取引する方法としては、FX(外国為替証拠金取引)があります。FX取引なら、保持していないポンドを売ることも可能。ポンド価格が上昇すると思っている方も、下落すると思っている方も、どちらも取引を始められます。ポンド/円の取引をすれば、イギリスが次第に身近に感じられるようになるでしょう。FX取引には、マーケット情報が充実している楽天証券がおすすめです。
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