FRBってなに?アメリカ経済を動かす機関を徹底解説!アメリカ経済のコロナウイルス対策とは
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2020年12月18日 10時0分
FRBってなに?アメリカ経済を動かす機関を徹底解説!アメリカ経済のコロナウイルス対策とは
コロナウイルスの感染が止まらないアメリカですが、そのような困難な状況の中、アメリカの景気や物価は過度に混乱することなく適正に保たれています。これはFRBがアメリカの現状の景気を見極め、適正な水準になるようコントロールしているからです。FRBとはどのような組織なのでしょうか?その組織の概要と、コロナウイルス状況下での取り組みを紹介します。
FRBって何の略?7名の理事はなにをするの?
FRBとは連邦準備理事会(Federal Reserve Board)の頭文字を取ったもので、アメリカ中央銀行制度の最高意思決定機関です。
FRBは7人の理事(2020年11月現在、2枠が空席)で構成され、その中の1人が議長に指名されます。2020年11月現在の議長はジェローム・パウエル氏です。また、金融政策担当と銀行監督担当1人ずつが副議長に任命されます。
FRBの役割
FRBは「雇用の最大化」と「物価の安定」を主な目的とした期間です。年に8回連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、景況判断をして、政策金利や今後の政策方針を策定していきます。
FRBはアメリカ国内の景気動向を見極め、市場の通貨流通量を調整して、物価の安定と経済の活性化のバランスをとり、安定した経済成長に導く重要な役割を果たしているのです。FRBの役割の中でもFOMCによって決定される政策金利フェデラルファンド(FF)レートは、最も重要な指標の1つと言えるでしょう。FRBで決定された内容は、各地の連邦準備銀行を通して各地区で推進されます。
FOMCの政策発表はアメリカと日本円の為替レートに影響を与えます。FOMCが政策金利を上げると発表した場合、ドルの人気が高まるため、円安ドル高になります。円安になれば日本の輸出関連企業の業績が上昇し、株価にも良い影響を与えることになるでしょう。
逆にFOMCが政策金利を下げると、ドルの人気が低下し、為替レートは円高ドル安となります。すると、日本の輸入企業の業績が上昇し、株価に影響を与えます。
このように、FOMCの政策決定はアメリカ国内だけではなく、日本をはじめ、世界中の国や企業に影響を及ぼすのです。
中央銀行の役割について
日本の中央銀行は日本銀行1行だけですが、アメリカには中央銀行にあたる連邦準備銀行(地区連銀)が12行あります。連邦準備銀行が置かれているのは、アトランタ、カンザスシティ、クリーブランド、サンフランシスコ、シカゴ、セントルイス、ダラス、ニューヨーク、フィラデルフィア、ボストン、ミネアポリスリッチモンドの各地です。
これは、アメリカは州の独立性が強いため、中央銀行の機能を各地域に分散させ金融機能を浸透させるためです。各地の連邦準備銀行の役割は、FRBで決定された内容を各地区で推進すること。
では、FOMCは政策金利でどのように景気をコントロールしているのでしょうか?
【アメリカ国内の景気が加熱した場合】
まず、アメリカ国内の景気が加熱した場合、国内の物価が上昇(インフレ)を引き起こすため、政策金利を上昇させると以下のようなサイクルになります。
(1)政策金利を上げる
(2)銀行が貸し出し金利を上げるので、企業はお金が借りにくくなる
(3)企業活動が抑制される
(4)雇用が調節される
(5)個人消費が下がる
(6)景気が抑制される
【アメリカ国内の景気が落ち込んでいる場合】
アメリカの景気が下がっていると判断すれば、FOMCは政策金利を下げて、以下のようなサイクルになります。
(1)政策金利を下げる
(2)銀行が貸し出し金利を下げるので、企業がお金を借りやすくなる
(3)企業活動が促進される
(4)雇用が拡大する
(5)個人消費が促進される
(6)景気が上向きになる
また、各連銀が紙幣を発行する点も日本と大きく異なる点と言えるでしょう。そのため、例えば同じ1ドル札でも、どこの連邦準備銀行で発行されたかで、異なるアルファベットが割り当てられています。
コロナ禍でFRBが行っていること
アメリカ国内でコロナウイルスが急拡大し、外出制限や経済活動が制限されたことからアメリカの経済成長は大幅なマイナスとなり、FRBは大胆な金融政策による対応を求められました。
2020年3月開催されたFOMCでは、景気刺激策として政策金利を1.5%~1.75%から1.0%~1.25%に下げました。同月中に緊急会合を開き、さらに利下げを行い、0.0%~0.25%として現在に至ります。これはリーマンショック時と同様の水準です。
その後FOMCによる景気刺激策もあり、10月の雇用統計では失業率が6.9%と前月から1%改善。また、非農業部門雇用者数は前月比63.8万人増となり、コロナウイルス拡大前までは回復していないものの改善傾向にあります。
2020年11月のFOMCにおいて、FRBのパウエル議長は様子見姿勢を継続する方針を発表しました。今後もアメリカ国内でコロナウイルス感染拡大が継続し、景気悪化懸念が起こるようであればさらなる追加対策を取るという状況です。とにかく今後のFRBの対応もコロナウイルスの感染状況次第と言えるでしょう。
今、米国株を購入するメリット・デメリット
このような不安定な状況でも、米国株を購入するべきなのでしょうか?
楽観的に考えれば、コロナウイルスの収束はいつかやってきます。コロナウイルスの治療薬の動向次第で、アメリカ経済は急回復する可能性も含んでいます。いつか来る景気回復を待ち望んで、今のうちに米国株を購入しておくという考えもありうるでしょう。
一方、大統領に当選したバイデン氏は企業に対する減税方針を見直すと言明しています。現実的な問題として、コロナウイルスにより弱体化している企業への増税ができるのかは疑問ですが、実行されれば景気への影響は無視できないものになるでしょう。
コロナウイルス収束の目処が立たず、バイデン大統領の経済政策に不透明感がある現在、米国株を購入するのはリスクが高いと考えるのも理にかなっています。
コロナウイルスの今後の影響やそれにともなうFOMCの政策、新大統領の方針など検討材料が多い米国株ですが、このような混沌とした状況は投資においてはチャンスでもあります。今後の情勢に注意を払いながら、米国株に注目してみるのも良いかもしれません。楽天証券では米国株式が1株単位で購入できます。
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