全固体電池とリチウムイオン電池の違いは何か。全固体電池が普及するとどうなる?
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2021年5月7日 10時0分
全固体電池とリチウムイオン電池の違いは何か。全固体電池が普及するとどうなる?
資源や環境の問題を解決する手段として、電気自動車(EV)が注目されています。EVを走らせるためには、ガソリンではなく電気を使用します。そこで重要となるのが「電池」。これまではリチウムイオン電池が使われていましたが、将来これにとって代わるとされているのが「全固体電池」です。全個体電池はEVと関連が深く成長産業として期待されるため、投資を考える際にはよく理解しておきたいキーワードと言えるでしょう。全固体電池とリチウムイオン電池の違いなどを解説していきます。
全固体電池とは?
ラジオや懐中電灯など、電池は生活の様々な場面に登場します。全固体電池はそうした電池の一種で、これからの電気自動車(EV)の時代へ向けて開発が進んでいる、新しいタイプの電池です。現在、スマホや電気自動車で使われているのは「リチウムイオン電池」。この次に来るのが、「全固体電池」というわけです。
電池というのは、プラスの陽極とマイナスの陰極との間に「電解質」があり、電気を貯めたり放出したりできるようになっています。全固体電池は、この電解質が固体となっているのが特徴。電解質が液体の従来タイプと比べてメリットが大きいとされています。また電池には充電できない1次電池と、充電可能な2次電池がありますが、全固体電池にはその両方のタイプが存在します。
リチウムイオン電池との違いは?
現在主流となっているリチウムイオン電池と、次世代の電池と目される全固体電池。最も分かりやすいのは、使用される電解質の違いです。リチウムイオン電池では、正極と負極の間にある電解質には、液体が使用されています。電解液の中をリチウムイオンが移動することで、充電と放電を行います。
一方、全固体電池では、この電解質の部分に固体が使用されているのです。電解質に液体を使った電池では、液体が蒸発してしまったり漏れてしまったりといったトラブルが起こっていました。全固体電池ではこういった問題が解決されるほか、様々なメリットがあり、新しい電池として期待されているのです。
全固体電池のメリット
リチウムイオン電池と比較して、全固体電池にはどのようなメリットがあるのかいくつか挙げていきましょう。
・エネルギー密度
まずはエネルギー密度。全固体電池では、エネルギー密度がリチウムイオン電池の3倍になると言われています。このことは電気自動車の実現で重要なポイントとなります。エネルギー密度が大きくなるということは、電気自動車の走行可能な距離をのばせることを意味するからです。リチウムイオン電池では、すでにエネルギー密度は限界に達していると考えられています。全固体電池はEVの走れる距離が短いという問題を解決する手段となるのです。
・バッテリーサイズ
また電気自動車にバッテリーとして搭載する際には、サイズの問題が生じます。全固体電池は、リチウムイオン電池よりもサイズを小さくすることができるというメリットもあります。リチウムイオン電池で必要だった冷却機構も使わずに済むということなので、電気自動車自体をコンパクトにしたり、居住空間を広げたりといったことに役立つでしょう。
・耐久性
さらに耐久性が高いのも全固体電池のメリット。電解質に液体を使用するリチウムイオン電池では、電解質の劣化や液漏れが問題となっていました。電池寿命の長い全固体電池が使えるようになれば、トラブルが少なく交換の回数も減らせそうです。
・充電時間
そしてもうひとつ、全個体電池は充電時間が短いという点も見逃せません。リチウムイオン電池の場合急速充電で30分かかるところを、全固体電池では10分で充電可能と言われています。全固体電池が搭載されることになれば、電気自動車はさらに便利になるでしょう。
全固体電池のデメリット
現在、開発中となっている全固体電池。開発上のネックとなっている課題を挙げてみましょう。
まず、ポイントは電解質に固体を使うことから生じる問題。電池には、電極と電解質が密着していることが求められます。液体であれば、電極の形が多少変化しても合わせることができます。しかし電極も電解質も個体だと、外から力を加えられたときに密着し続けることが難しいという点が問題になるのです。
そのため固体電解質にどんな素材を使うかが、焦点となっているようです。電解質の素材としては、硫化物系の素材と酸化物系の素材が候補となっています。開発する中で最適な素材を選ぶことになるでしょう。また大量生産をするとなると解決しなければならない問題もあるようで、世界中のメーカーが解決に取り組んでいます。
全固体電池車とは?
現在、電気自動車(EV)のバッテリーとして使われているのは、リチウムイオン電池。しかし全固体電池の実用化が実現すれば、電気自動車に全固体電池を搭載した「全固体電池車」が主流になっていくかもしれません。充電が速く、航続距離が長く、液漏れがない電池を搭載した全固体電池車の登場が待ち望まれます。
全固体電池が普及するとどうなる?
電池・バッテリーの歴史を振り返ると、現在のようなスマホの登場と普及を実現したのが、リチウムイオン電池でした。小さく長持ちするバッテリーがなければスマホはここまで便利にならなかったかもしれません。そして次に来そうな、全固体電池の普及。これが電気自動車(EV)の本格的な利用の広がりを実現する転換点となる可能性があります。
このように電気自動車(EV)をより便利にして、その普及を促進する可能性を秘めた「全固体電池」。これからの時代に期待される産業となっています。成長産業として投資の対象となりそうです。その場合、注目したいのが自動車メーカーや素材メーカーです。自動車メーカーであれば、トヨタ自動車(7203)や日産自動車(7201)、素材メーカーでは出光興産(5019)や三井金属鉱業(5706)などが、株式での関連銘柄とされています。資産の一部を成長産業と考えられる株式で保有したいというときは、楽天証券に口座を開設すると、ネット上で簡単に株が購入できます。
FAQ
- 全個体電池とは
現在開発が進んでいる、新しいタイプの電池 - 全固体電池車とは
全個体電池を搭載した電気自動車(EV) - 全個体電池のメリット
エネルギー密度
バッテリーサイズ
耐久性
充電時間 - 全固体電池のデメリット
電解質が固体であるため、密着が難しい
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