ユーロドルの特徴とは|値動きの要因や今後の見通しを分かりやすく解説
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2021年5月31日 10時0分
ユーロドルの特徴とは|値動きの要因や今後の見通しを分かりやすく解説
FXにおいてユーロドルは日本ではなじみのない通貨ペアですが、取引量が多く価格が安定しています。着実に収益が積みあがるスワップポイントを狙った取引にも向いています。ユーロドルの特徴と今後の見通し予測について解説します。
ユーロドルは世界一の取引シェアを誇る通貨ペア
ユーロドルは、FXにおいて世界で最も取引量の多い通貨ペア(※)で、EUR/USDで表されます。ドルはご存じの通りアメリカの通貨。ユーロは欧州連合(EU)加盟国のうち19ヵ国で使用されている共通の通貨のことです。
国際決済銀行の統計によると、通過ペア別の取引シェアは、1位がユーロドルで、2位がドル円、3位がポンドドルと続きます。なお、2021年4月末時点で、1ユーロは1.2090ドルとなっています。
※通貨ペア:売買される2つの通貨の組み合わせ。
基軸通貨と決済通貨
ユーロドルは円が絡まない取引なので、あまりピンと来ないかもしれません。通貨ペアの表記には決まりがあって、左側は基軸通貨(base currency)、右側に売買する通貨を表記します。ユーロドル、つまりEUR/USDであれば、ユーロをドルで売買すること。ちなみに、日本でポピュラーなドル円(USD/JPY)であれば、ドルを円で売買するということになります。
ユーロドルのチャートから流れを見る
2008年のリーマンショック以降回復基調にあったユーロ。しかし、ギリシャが会計操作によって負債を隠していたことが発覚。このギリシャ危機(2014年~2015年)をきっかけにEUの信頼は失墜し、ユーロはその後大きく値を下げていくことになります。
その後もイギリスのEU離脱問題を焦点とした大きな値動きがありましたが、2020年1月末で正式にイギリスはEUを離脱。EU離脱が決まったことは、安心材料となり徐々にユーロ現状は上昇傾向。今後はユーロ圏やEU全体の新型コロナウイルスの感染状況次第という状態です。
ユーロドルを日本で取引するには
ユーロドルはFX業者を通じて取引をします。世界で最も取引量が大きい通貨ペアなので、日本でも多くのFX会社が取り扱っています。楽天証券もそのひとつです。また楽天銀行の利用者であれば、「新・楽天銀行FX口座」が簡単に作れ、最短で申込日の翌日にユーロドルの取引ができるようになります。
ユーロドルの特徴
ユーロドルは流通量が多く、初心者のFXトレーダー向きです。それぞれの特徴について詳しく解説します。
・流通量が多く価格が安定している
日本ではあまりなじみがありませんが、ユーロドルは世界一の取引量を誇る通貨ペアなので、値動きが安定しています。経済情勢や要人発言によって特定の通貨ペアの値動きが大きく変わってしまうことがありますが、値動きの幅(ボラティリティ)は限定的です。そのため、FX初心者に向いている通貨ペアといえます。
・取引が活発になるのは16時前後から
ユーロドルの取引が活発になるのは、ロンドン市場(16:00~2:00、冬場は17:00~3:00)が開くころ。ニューヨーク市場(21:00~6:00、冬場は22:00~7:00)が終わるまで活発に取引されます。
また、ロンドン、ニューヨークが両方オープンしている時間帯は、値動きが大きくなる傾向があります。値動きの幅は限定的なことがほとんどですが、初心者の場合この時間帯は注意が必要です。
ユーロドルに投資するメリット
ユーロドルは値動きが小さいので、短期的な値動きで収益を上げることは難しく、長期投資に向いています。この点でも初心者が取り扱うのに向いている通貨といえるでしょう。
・トレンドに素直な値動きをする
ユーロドルは価格の変動が少ないため、リスクは小さいものの、反面、為替の値動きを利用して収益を上げるには向いていません。しかし、一度トレンドが生じると一方的に同じ方向に上昇、または下落する傾向があるので、長期的に見れば大きな為替の値動きとなり大きな収益を上げることができる可能性があります。
常にチャートを眺めながら取引できるわけではない人に向いている通貨ペアです。
・ユーロドルを予想する際に参考とする経済指標
ユーロドルの通貨ペアは、アメリカとユーロ圏(通貨としてユーロを採用している国)の力関係によって値動きをします。
【ユーロドル上昇の変動要因】
○ユーロにとって良いことがあった
○ドルにとって悪いことがあった
○ユーロの金融引き締め
○経済指標でユーロ圏に有利な発表があった、またはドルにとって不利な発表があった
【ユーロドル下落の変動要因】
○ユーロにとって悪いことがあった
○ドルにとって良いことがあった
○ユーロの金融緩和
○経済指標でユーロ圏にとって不利な発表があった、またはドルに有利な発表があった
【主な経済指標】
アメリカやユーロ圏の景気を判断する重要な情報が、定期的に発表されます。代表的なものを以下に挙げるので、ユーロドルを自分なりに予想する際に活用してください。
・スワップポイントが高い
FXは売買差額以外でも収益を出すことができます。両国の金利差に基づく収益で、これをスワップポイントといいます。1日に何度も収益を得られるものではなく、大きな金額でもありませんが、スワップポイントは毎日受け取ることができるものです。
なお、2021年4月28日現在、10,000通貨あたりのユーロドルのスワップポイントはFX会社によって異なりますが、0~21円前後で推移しています。
ユーロドルを売りポジションで翌日まで保有しておくことで、スワップポイントを得ることができます。買いポジションのユーロドルを翌日まで持ち越すと、スワップポイントがマイナスになってしまうので注意しましょう。
ユーロドルに関連するニュース
現状、ユーロドルに限らずトピックは新型コロナウイルスの感染状況と、ワクチンの接種状況です。そのため、少し先を見据えての話題として、環境に関する投資に注目しておきましょう。
2021年4月22日に、バイデン大統領主催の世界気候変動サミットが開催されました。ここでアメリカは、2030年までに二酸化炭素排出量を2005年度比50~52%削減すると発表しています。これは、これまで掲げてきた目標をはるかに上回る目標。今後、各国・企業に気候問題への対応がより強く求められることになるでしょう。
各国がとりわけ力を入れているのは、ESG。Environment(環境)、Social(社会)、Governance(統治)の観点を持っている国や組織が長期的に成長していくと判断する投資家が増えているためです。
世界最大の機関投資家、日本の年金積立金管理運用独立行政法人が「責任投資原則(PRI)」に署名したことは、一時期話題になりました。PRIは国連が推進している投資原則で、投資にESGの視点を組み入れることなどを掲げています。
電気自動車、水素エネルギー、脱酸素、太陽光。こういったビジネスに国として取り組んでいるニュースは敏感にキャッチしていきましょう。
ユーロドルの今後の見通し予想
ユーロドルの見通しは今後の金利の動向次第といえるでしょう。新型コロナウイルスの感染拡大が収まり、ワクチン接種が進むアメリカでは経済が急速に回復しています。景気が過熱すると金利上昇期待が高まりますが、FRBは2023年まで低金利政策を維持するとしています。ECB(欧州中央銀行)もユーロ圏の経済回復は不十分とし、金融緩和は継続姿勢です。
ただしFRBは特に、いつ政策を変更してもおかしくない状況で、既にテーパリング(量的緩和を弱めていく)議論が浮上しています。ユーロドルは当面現状維持としながらも、FRBとECBの金利政策によって均衡が崩れる可能性あることに留意しておく必要があります。
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