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モラルハザード(moral hazard)とは|例をもとに意味をわかりやすく解説

楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2021年6月25日 10時0分

モラルハザード(moral hazard)とは|例をもとに意味をわかりやすく解説

モラルハザード(moral hazard)とは|例をもとに意味をわかりやすく解説

モラルハザードは、保険と関係が深い言葉。リスクによる損害を補償する制度が、リスクを回避しようとする意識を弱めてしまうことを指しています。ここでは具体例や、コロナ禍で発生しているモラルハザードについて解説しています。

モラルハザードとは。簡単に言うと何?

モラルハザードとは。簡単に言うと何?

モラルハザード(moral hazard)とは、もともと保険の世界で使われていた言葉。保険に加入することで、事故や病気といったリスクへの注意が、おろそかになってしまう状態を意味しています。モラル(moral)には倫理や道徳、ハザード(hazard)には障害物などの意味があります。文字通りに理解しようとするなら、倫理的な考え方の邪魔になっているもの、というようになるでしょう。危機における損害を救済するための制度が、人の心理に影響し、危機を起こしやすくしてしまうのです。

 

モラルハザードは、単なる倫理の欠如という意味で使われることがありますが、保険のように危機における損害を救済するための制度の存在が前提となっていなければ、厳密には誤用と言えるでしょう。ただ単に、人々が非倫理的・非道徳的な行動をすることだけの場合を指して、それをモラルハザードの状態と呼ぶのは少し違うようです。何か損害を救済する制度があるために、人々が非倫理的・非道徳的な行動を取りやすくなっているのであれば、モラルハザードが存在することになります。

モラルハザードにはいくつかパターンがある?例題でケーススタディ

モラルハザードにはいくつかパターンがある?例題でケーススタディ

もともと保険の世界で使われていた、モラルハザード。まずは保険におけるモラルハザードがどのようなものなのか、具体的に紹介していきましょう。

 

例えば自動車保険。保険に入らずに自動車を運転している場合、事故を起こすと大きな金額を自分で用意しなければなりません。他人の生命や財産に損害を与えてしまえば、その損害を賠償するためのお金が必要となります。この状況では、できるだけ事故を起こさないように、細心の注意を払うことになるでしょう。

 

しかし保険に加入していれば、一定の保険料を支払うことで、事故を起こしても保険金が支払われます。お金に関しては、事故を起こしても大丈夫かなという感覚が芽生え、安全運転への意識が低くなる可能性があります。医療保険でも同じことが言えるでしょう。高額な医療費を気にしなくてよいため、健康を維持しようという意識が下がるということがあり得るのです。

 

ただし自動車保険ではモラルハザードへの防止策も取られています。例えば「保険等級制度」。事故歴や保険の使用回数によって等級が変化し、保険料が高くなったり安くなったりする制度です。保険期間中、自動車保険の加入者が事故を起こさなければ、次回の保険料が安くなるのです。支払う保険料を安くしたいという意識が働けば、安全運転への意識も高まるでしょう。

 

金融の世界では保険以外に、銀行に対してモラルハザードという言葉を使うことがあります。大規模な経済危機が発生し、銀行が経営危機に陥ると、公的資金によって救済されることがあります。銀行はこうした救済をあてにして、リスクが大きな貸し出しを実行する可能性があると考えられるでしょう。モラルハザードの状態です。また預金などで銀行を利用する人々にとっても、救済措置があることで経営状況をみて銀行を選ぶという姿勢が弱められてしまう可能性があります。

コロナ禍のモラルハザードとは

コロナ禍のモラルハザードとは

コロナ禍では、感染防止へ向けた取り組みにともなって、経済の停滞が問題になっています。とくに観光や飲食業などでダメージが大きくなっているようです。ほかにも様々な業種で企業や経営者、労働者の収入が減るなどして、経済的な困難に陥っています。つまりコロナ禍では多くの人々が、売り上げや収入について損害をこうむっているのです。

 

これに対しては国や地方自治体などが、救済として金銭的な支援をつづけています。こうした金銭的な支援は、もちろん良い面もあります。被害を受けた人の生活を維持し、景気の下支えにもなっていることは明らかです。

 

しかしここでもモラルハザードが起こっているとの指摘があります。例えば企業。コロナ禍で収入が落ちた場合、サービスのデジタル化・オンライン化などの改革によって収入を取り戻せるかもしれません。しかし失った収入が補てんされる状況では、こうした工夫を積極的に進める意欲が低くなってしまいます。公的な救済が、企業の意欲を阻害しているような状況です。

 

働く人々にとっては、救済策が労働意欲を低下させているかもしれません。もし救済策がなければ、コロナ禍での悪影響が少ない業種への転職を検討せざるを得ない人も存在したでしょう。それが本人にとっても経済全体にとっても、より効率的な行動だったかもしれないのです。しかしここにもモラルハザードが存在し、より良い行動が封じ込まれてしまったとも考えることができます。

モラルハザードについては、楽天銀行楽天生命楽天損保といった、身近な金融機関を利用する際にも一度思い出しておきたいところです。例えば保険については、保険に加入しているがために、安全に配慮しなくなっている自分に気付くことがあります。また銀行を選ぶ際には経営状態をチェックすることも大切です。公的な支援を期待して、放漫な融資をおこなっている銀行があれば、リスクを取り過ぎていると判断することもできるでしょう。お金に関してちょっと心にとめておきたいのが「モラルハザード」です。

FAQ

  1. モラルハザードとは?
    損害を救済する制度があるために、人々が非倫理的・非道徳的な行動を取りやすくなっている状況のことです。
  2. 保険におけるモラルハザードとは?
    保険に加入することで、事故や病気といったリスクへの注意がおろそかになってしまう状態のことを示します。
  3. 自動車保険のモラルハザード防止策とは?
    事故歴や保険の使用回数によって等級が変化し、保険料が変わることで安全運転への意識を高めるよう働きかけられています。
  4. 銀行におけるモラルハザードとは?
    公的資金による救済をあてにしてリスクが大きな貸し出しを銀行が実行してしまうことです。
  5. コロナ禍におけるモラルハザードとは?
    公的な救済が、企業の営業意欲を阻害、また従業員の労働意欲を低下させている可能性について使われます。

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