円高・円安はどっちがいい?輸出・輸入との関係、為替レートによる生活への影響など
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2021年7月16日 10時0分
円高・円安はどっちがいい?輸出・輸入との関係、為替レートによる生活への影響など
円高とは、海外の通貨と比較したときに円の価値が上がることです。円安は逆で、海外の通貨と比較し円の価値が下がることです。輸出入の多い日本では、どちらが起きても経済に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
円高とは
円高とは、海外の通貨と比較したときに円の価値が上がることです。
例として、今まで1ドル=100円だったのが1ドル=90円になったとします。今まで100円で買えたものが90円で買えるようになるので、円の価値が上がった。つまりこの状況が円高です。
円高のメリット・デメリット
円高によって物が安く買えるようになったと思うと、良いことだと感じるでしょう。実際円高の状況では、海外から商品を輸入する業者は円で同じ額を支払ったとしても今までより多い量の商品を輸入することができます。結果そうして多く仕入れることのできた輸入品や、インターネットショッピングでも輸入商品の価格は下がります。また海外旅行に行った際も現地の商品を安く買えることになるでしょう。
また、ほとんどが輸入である原油やガソリンといったエネルギー資源の価格も下がり、企業はコストカットが可能です。経営においても良い影響をもたらすでしょう。
反面、日本からの輸出をする商品は円高になると価格が上がることになります。他国との価格競争においては、不利な状況になってしまうでしょう。日本を訪れる外国人にとっても買い物、旅行がしづらくなります。外国人の多い観光地や外国人向けの免税を行うような小売店にとっては、売り上げが下がるマイナスの影響が予想されます。
また、外貨預金をしている人にとっても、円高の状態で持っている外貨を円に換えると残高が下がってしまいます。
円安とは
円安とは、海外の通貨と比較したときの円の価値が下がることで、円高の反対の状況を表します。例えば1万円の商品は、1ドル=100円のときはアメリカで100ドルです。しかし、これが1ドル=200円になれば半額の50ドルになります。
円安のメリット・デメリット
円安になるとで日本製の商品は外国から見た時に安価で手に入れられることになり、海外での価格競争に強くなります。日本には輸出企業も多く、例えば自動車メーカーなどの輸出を行う企業にとっては追い風になります。
また外国人観光客にとっては日本の物価は安く感じられるため、自然と日本国内での消費量もアップするでしょう。企業の景気がよくなれば、従業員の収入が上がることになり、景気にも貢献します。
一方で、円安は海外のものを買うときには不利に働きます。円高であれば安く手に入れられた輸入品が、円安になると高くなってしまうのです。つられて、輸入を行う企業にとっては不利な状況と言えます。
為替レートの変動は暮らしにどう影響するの?
為替のレートは物価変動を意味するインフレーション、デフレーションとも密接に関係します。なぜなら、私たちの日常的に目にするもののなかには実は多くの輸入品が含まれているからです。
そのため、日本では円安になると少なく仕入れた商品に対して全体的に物価が上がるインフレの状態になり、逆に円高だと多く仕入れた商品の物価が下がってデフレの状態になります。
インフレが起き物価が上がると、たとえ銀行に1,000万円の預金があっても円の価値は下がり、預金の価値は目減りしていくことになります。これを防ぐには、投資による利回りの配当などでお金を増やし対策をするしかありません。
プラザ合意とは
プラザ合意とは、ニューヨークのプラザホテルで1985年9月22日に行われた為替レートの安定化についての合意です。日本経済に様々な影響を及ぼし、バブル景気のきっかけとなったとも言われています。円高や円安ともかかわり深い、プラザ合意について解説します。
プラザ合意の舞台、会議出席者をおさらい
プラザ合意が行われたのはニューヨークのプラザホテル、会議に出席したのは先進5カ国の重鎮たちです。それぞれを詳しく見ていきましょう。
・プラザホテル
プラザホテルはニューヨークのセントラルパーク近くにあるホテルです。建物は1907年に建築された歴史あるもので、1986年にはアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定されました。一時期には元アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏がオーナーを務めていたこともあります。ロケ地としても有名で映画『ホーム・アローン2』やドラマ『ゴシップ・ガール』『華麗なるギャツビー』など、複数の映像作品に登場しています。
・会議の出席者
プラザ合意が行われた会議に出席したのは、先進5カ国の財務大臣に相当する人物たちです。役職は当時のものを記載しています。
アメリカ 財務長官 ジェイムズ・ベイカー
イギリス 財務大臣 ナイジェル・ローソン
西ドイツ 財務大臣 ゲルハルト・シュトルテンベルク
フランス 経済・財務・予算大臣 ピエール・ベレゴヴォワ
日本 大蔵大臣 竹下登
当時の日本は中曽根康弘内閣。会議に出席した竹下登大蔵大臣はその後総理大臣も務め、消費税の導入やふるさと創生一億円事業などを行いました。タレント・ミュージシャンのDAIGOさんの祖父としても知られています。
また、フランスのピエール・ベレゴヴォワもその後1992年~1993年にフランス首相となりました。
プラザ合意の背景と内容
1980年代前半のアメリカではインフレが起こり、その抑止制作として厳しい金融引き締めが行われていました。金融引き締めに伴い金利が上昇した結果米ドルの金利は20%にまで達し、世界中から多くのお金がドルに集まりました。結果ドル高が進み、輸出の減少と輸入の拡大によってアメリカは巨額の貿易赤字、財政赤字を抱えていました。これがアメリカの抱えていた「双子の赤字」です。
プラザ合意の主な内容は「参加各国が外国為替市場に協調介入し、ドル高をドル安にする」というようなものです。中でもアメリカの対日貿易における赤字は顕著であり、円高ドル安に誘導するという内容でした。発表後1日の間に円相場は1ドル235円から約20円下落。翌年には1ドル150円台になり、円高ドル安という目的は達成されました。
プラザ合意の影響
プラザ合意によって出たその後2つの合意と、日本経済への影響について説明します。
・ルーブル合意とクリスマス合意
プラザ合意の結果、今度は逆にドル安が進行しすぎてしまいました。その対策として行われたのが、ドル安の歯止めを目指す1987年2月22日のルーブル合意の成立です。ルーブル合意はパリのルーブル宮殿で行われたことからその名前が付き、会議にはプラザ合意の5カ国(アメリカ・イギリス・西ドイツ・フランス・日本)にカナダとイタリアが加わりました。
さらに1987年12月22日にはドルの安定を求めるクリスマス合意も出され、ドル円はしばらく120円を底に推移するようになります。
・日本経済への影響
プラザ合意の後、日本では円高が進行したことで輸出が減少。一度国内景気は低迷します。日銀は円高不況に対する懸念から低金利政策を継続し、企業は円高によるメリットを享受することで景気回復に転じました。
この時の低金利を利用して銀行からお金を借りて土地を買い、これを担保にさらにお金を借りて土地を買う…といった企業が増加し、バブル景気に突入していきます。プラザ合意がバブルの全ての原因ではありませんが、起点であるとは言われています。しかし1990年初頭の株価暴落によってバブルは崩壊。企業の倒産や金融機関の統廃合などが相次ぎ、リストラの増加、新規雇用の冷え込みなどもありました。これが1990年代、バブルの後遺症による「失われた10年」と呼ばれる期間です。
プラザ合意がアベノミクスに与えた影響
景気の底上げを行うため、アベノミクスと呼ばれる経済対策が主に行ってきたのは大胆な金融緩和でした。金融緩和とは中央銀行(日本の場合は日銀)が金利を引き下げ、人々や企業がお金を借りやすくすることです。一時期にはこの対策による経済効果が確かにみられたものの、近年では再び停滞の一途を辿っています。
日本経済の停滞の理由の一つにあげられるのが、実は30年以上前の出来事であるプラザ合意の影響です。プラザ合意以前、海外への輸出産業に力を入れていた日本の企業達は生産拠点を海外に移しはじめ「生産の空洞化」が起こりました。そのため国内の企業に有効な金融緩和には限界が生じているという説です。さらに、長期的な金融緩和によって預金と貸出金の金利差で稼いでいる地域金融機関が大きなダメージを受けるという問題も上がってきています。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?円高/円安のメリットやデメリット、為替レートと関係が深いものとしてプラザ合意を取り上げて解説しました。
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このテーマに関する気になるポイント!
- 円高とは?
海外の通貨と比較したときに円の価値が上がることです。 - 円高のメリットとは?
海外のものが安く買えるこ - 円高のデメリットは?
国内の輸出企業の競争力が下がってしまう、外国人観光客向けのサービスは価格が高くなってしまうこと。 - 円安とは?
海外の通貨と比較したときの円の価値が下がることです。 - 円安のメリットは?
日本製の商品が海外との価格競争に強くなることと、外国人観光客の日本国内での消費の後押しになることです。 - 円安のデメリットは?
日本から海外のものを買うときに物価が高くなり、輸入業者にとっては不利になります。 - 円安になると物価はどう動くの?
物価が上がり、インフレの状態になります。 - プラザ合意とは?
為替レートの安定化についての合意です。 - プラザ合意が行われたのはいつ?
1985年9月22日です。 - プラザ合意が行われたのはどこ?
ニューヨークのセントラルパーク近くにあるプラザホテルです。 - プラザ合意の参加国は?
アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、日本です。 - プラザ合意の背景とは?
1980年代前半にアメリカで起きたインフレがきっかけてで金融引き締めの結果ドル高が進んだことです。 - 双子の赤字とは?
1980年代前半のドル高によって輸出の減少と輸入の増加によってアメリカの抱えていた貿易赤字、財政赤字のことです。 - プラザ合意の内容とは?
簡単に説明すると、参加各国が外国為替市場に協調介入し、ドル高をドル安にすることです。 - プラザ合意の結果どうなった?
発表後1日の間に円相場は1ドル235円から約20円の下落、翌年には1ドル150円台になり目的は達成されました。 - ルーブル合意とは?
1987年2月22日に成立した、ドル安の歯止めを目指すものです。 - ルーブル合意はどこで行われた?
パリのルーブル宮殿で行われました。 - ルーブル合意の参加国は?
プラザ合意の5カ国(アメリカ・イギリス・西ドイツ・フランス・日本)とカナダ、イタリアの7カ国です。 - ルーブル合意の目的は?
ドル安の進行に歯止めをかけることです。 - クリスマス合意とは?
1987年12月22日に出されたドルの安定を求める合意です。 - プラザ合意の日本経済への影響は?
円高が進行し不況に対する懸念から日銀は低金利政策を継続。バブル景気のきっかけとなりました。 - バブル崩壊のきっかけは?
1990年初頭の株価の大暴落です。 - 日本経済の失われた10年とは?
1990年代、バブルの後遺症と言われる不況時代です。 - プラザ合意がアベノミクスに与えた影響は?
プラザ合意以前に企業が拠点を海外に移し生産の空洞化が起きていた為、日銀が金融緩和を行っても国内企業に行き渡らなくなっていること。
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