投資信託の分配金、「あり」と「なし」ではどちらが良いのか?
楽天お金の総合案内 みんなのマネ活 / 2021年8月30日 10時0分
投資信託の分配金、「あり」と「なし」ではどちらが良いのか?
投資信託には分配金のあるものとないものがあります。どちらを選ぶかは、自分のライフスタイルに合わせた選択が必要です。分配金を受け取ることで元本を減らしてしまう可能性もあるため、仕組みは正しく理解しましょう。
投資信託の分配金とは?
投資信託における「分配金」とは、投資信託を購入した投資家に対し、運用によって得られた収益を還元するお金のことです。分配金は決算期ごとに運用会社によって決定され、投資家は販売会社を経由して分配金を受け取ります。
分配金は、運用した株式の配当や債券の利子、値上がり益などを原資とします。分配金が支払われるタイミングは、年に1度、半年に1度、毎月など、投資信託によってそれぞれです。
・投資信託の仕組み
投資信託は、投資家から集めたお金でファンドを作り、それを専門家が管理・運用し、その成果を投資家に還元する仕組みです。投資信託の販売・運用・管理は、それぞれ下表のような分担で成り立っています。
投資信託の販売・運用・管理表
・分配金と配当金・償還金との違い
分配金は、一定期間の運用によって得られた収益に応じて、販売会社から投資家に支払われるお金です。混同しやすいのが「配当金」ですが、配当金は投資先の企業から支払われるお金という点で違いがあります。
また、分配金と同様に投資家に支払われる「償還金」というお金もあります。償還金とは、あらかじめ定めた期間の満期日(償還日)に、投資家に返還する元本のことです。元本は償還金として、収益は分配金として、投資家に支払われます。
分配金の種類
分配金には「普通分配金」と「特別分配金」の2種類がありますが、ここでそれぞれの違いについて解説します。
・普通分配金
運用によって得られた収益をそのまま投資家に還元するのが、普通分配金です。普通分配金はそのまま投資家の収益となるため、支払われた分配金には税金が課されます。
・特別分配金(元本払戻金)
元本の一部を投資家に還元するのが、特別分配金です。収益からではなく元本を取り崩して支払われるため、その分運用資産が減少することになります。収益ではなく元本の一部が戻るという意味で、支払われた分配金には税金が課されません。
・どちらの分配金なのかは、運用報告書で確認する
投資信託の分配金が普通分配金なのか、特別分配金(元本払戻金)なのかは、決算後に運用会社から発行される運用報告書で確認します。分配金を受け取る場合は必ず確認しましょう。
分配金が多い銘柄や、毎月の分配金がある銘柄などは、特別分配金の可能性が高いため注意が必要です。
分配金は受け取るべき?
分配金のある投資信託を選択した場合も、分配金を受け取らず運用資産に組み込むことができます。分配金を受け取るか、受け取らず運用資産に組み込むかを判断するには、それぞれのメリット・デメリットを把握しておくことが重要です。
・どちらが良いかは、ライフスタイルによる
分配金を受け取った方が良いかどうかは、一概には答えられません。自分のライフスタイルに応じて選択することになります。投資信託で得られる収益が今すぐ必要なのか、将来に向けて貯えているのかを判断基準にして、目的に合わせて判断しましょう。
投資信託は運用によるリスクがあるため、確実に自分の期待するリターンが得られるとは限りません。そうした意味でも、銘柄選択においては自身のリスク許容度の確認も重要になります。少しずつ分配金を受け取って利益を確保していく方が安全という考えもあれば、分配金を受け取らず長期的に大きな利益を狙うという考えもあります。
・少額でも定期的に収益を得たいなら「受け取る」
分配金を受け取る利点は、定期的に現金で収入を得ることができる点です。投資信託の種類にもよりますが、分配金は年に1回や2回、隔月や毎月など、様々なパターンで受け取ることが可能です。
しかし、分配金を受け取ると運用資産が減少してしまいます。運用資産は多ければ多いほど、投資信託における複利運用の効果は高くなります。つまり、分配金によって運用資産が減少してしまうと、運用の効率が減少してしまう点がデメリットです。
老後の生活費など、年金収入の上乗せとして定期的な収入が欲しい人や、高い増収が見込めなくても良いから短期で収入を得たい人などは、分配金を受け取ると良いでしょう。
・長期的な運用で増益を期待するなら「受け取らない」
分配金を受け取らないメリットは、運用資産に据え置いたまま再投資に回すことができるため、高い運用効果が見込まれる点です。受け取らなかった分配金相当額も、引き続き複利運用が行われるため、より高い増収が期待できます。
定期的な収入が得られない点や、投資信託の運用によって減益となってしまうリスクがある点はデメリットといえます。より高い運用効果を期待する人や、資産に余裕があり長期的に運用に回せる人は、分配金を受け取らない選択が良いでしょう。
分配金の注意点
分配金のあり・なしはどちらが良いのか、分配金は受け取った方が良いのかは、自身の投資の目的や意向で選択する必要があります。ライフスタイルやリスク許容度など、自分のスタイルに合った選択をしましょう。
投資信託の分配金について、注意しておきたいポイントを解説します。
・分配金には手数料がかかる
分配金を受け取る場合は、そのたびに手数料がかかります。手数料の額は投資信託の販売会社によって異なりますが、分配金を受け取る回数が多くなるほど手数料負担も大きくなることには注意が必要です。
分配金を受け取るかどうかはもちろん、投資信託の販売会社を選択する際は、この手数料についても必ずチェックしましょう。手数料の安い会社を選択することで、投資信託にかかるコストの削減につなげることができます。
・分配金の多い投資信託が良いものとは限らない
分配金が多い投資信託は、つい魅力的に見えてしまいます。しかし、分配金の多い投資信託が必ずしも良いものであるとは限りません。
分配金には普通分配金と特別分配金の2種類があると説明してきました。分配金が多く出る投資信託は、特別分配金として元本を取り崩している可能性があります。そうなれば運用資産は減り、複利の効果が下がってしまうため、投資効率は悪くなります。
運用は将来に渡って約束されるものではないため、最初は運用成果が良かったとしても、それが継続するとは限りません。分配金の多く出る投資信託は、収益が出ていなくても、特別配当金として元本から分配金を支払っているという場合があるため、注意が必要です。
・分配金は常に出るとは限らない
分配金を出すかどうか、またいくら出すかは、運用会社がその都度判断します。そのため、常に分配金が出ることが保障されているわけではありません。
定期的な収入の一部として考えていた分配金が出ないとなると、非常に不安になります。また、分配金が出るにしても、それが特別分配金で元本を取り崩し続けるとなれば、投資信託の運用効果は弱くなっていく一方です。
分配金に関するルールについては、目論見書(投資信託の説明書)に定められているため、事前にしっかりと把握しておきましょう。
・分配金には税金のかかるもの、かからないものがある
普通分配金は利益(収益)から出る分配金です。投資信託で得られた利益は「配当所得」の取り扱いとなり、分配金に対して20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。
特別分配金は元本から出る分配金です。投資家に元本を払い戻すという意味合いのため、税金は課税されません。
分配金に税金がかかるかどうかは、その分配金が普通分配金なのか、特別分配金なのかをよく確認しておく必要があります。また普通分配金の場合、分配金を受け取らず運用資産に据え置き再投資に回したとしても、分配金を受け取ったことになり課税対象となるため、注意が必要です。
投資信託は「楽天証券」がおすすめ
投資信託の分配金のあり・なしは、自分のライフスタイルに合わせ、目的に応じて選択することが大事です。投資信託で得られる運用効果を早めに受け取りたい人は分配金ありを、長い期間をかけてより高い運用効果を得たい人は分配金なしを選択しましょう。
分配金ありを選択した場合は、それが普通分配金なのか特別分配金なのかを把握することが重要です。投資信託の運用は将来が約束されたものではないため、利益が出なければ元本を取り崩すことにもなりかねません。必ず事前に確認しておきましょう。
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